BIZ FEATURES~タイのビジネスを特集で紹介
WiSE編集部 RyDEEN Co., Ltd.
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2016.12.07

【物流特集】タイから世界へ。物流大転換期

ASEAN経済共同体(AEC)が発足し、人口6億人、GDP(国内総生産)2兆ドルを超える巨大経済圏の誕生への期待は大きい。
一方で、既存のタイと世界(日本含む)を結ぶ物流は、日数短縮や定温輸送など、多種多様なサービスが揃い、まさに花盛りだ。
タイの物流業界の最前線を特集する。

 

 

単一市場の誕生! 自由化が押し寄せる

南シナ海問題では、中国を相手に分断するASEAN(東南アジア諸国連合)だが、こと経済においては、2015年12月31日にAECを発足させ、形としては単一市場(経済圏)が誕生。まさに新時代の幕開けとなった。

ご多分に漏れず、AECは加盟10ヵ国(※)の経済統合を目的に、単一の市場と生産基地、競争力のある経済圏の形成を目指すもの。域内人口6億人は、企業にとって否が応でも新市場としての価値と安価な労働力確保への期待が膨らむ。とりわけタイは自動車・家電といった製造業の産業集積地であり、世界に冠たる多くの日系企業が集い、同国発展の原動力として寄与してきた。結果、タイの経済成長は所得中間層を底上げし、消費市場としての価値を高める一方で、生活水準の高まりは労働者階級の人件費を高騰させ、製造業にとっての安価な労働力という進出最大のメリットが失われつつある。

今後、AECの発足はタイの既存サプライチェーン網を、安価な労働力(メリット)のあるラオス、カンボジア、ミャンマーといった隣国へ拡大させる水平分業へと移行する動きにつながる。

発足後、多くの識者はこう話す。
「中進国の罠からの脱却を目論むタイにとっては、イノベーションによる高付加価値品が自国から誕生することを望み、逆に労働集約型の工程は隣国で賄い、半製品を生産し、タイで完成品として出荷・輸出するといった、AEC域内での巨大サプライチェーン網を目指す動きが活発化するでしょう」。

域内分業で取り組みが進むのが、域内関税の撤廃と同時に通関手続きの簡素化だ。

自由化の波の中で、注目されるのが陸続きでつながるタイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス5ヵ国+中国で形成する大メコン経済圏(GMS=Greater Mekong Subregion)。域内人口こそ約3億人とAEC全体の半分だが、陸続きである以上、ボーダレス化の恩恵をもっとも享受できる地域。その大動脈となるのがGMS経済回廊だ。

※AEC加盟国(タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ブルネイ)

一本の道路でつながる物流回廊

太平洋との出入口ベトナム・ホーチミン、カンボジア・プノンペン、タイ・バンコク間約900㎞を、国際幹線道路“アジアハイウェイ(AH1号)”がつなぐ南部経済回廊。人口約800万人。かつてサイゴンと呼ばれたホーチミンは、ベトナム経済の中心地のひとつで、周辺には大小70以上の工業団地が建ち並び、日系企業の進出も多い。

ホーチミンから西へ約100㎞。国境を超えカンボジアに入ると大河メコン川が立ちはだかる。15年4月、それまですべての車両が船で渡っていた大河に、日本のODAによる“つばさ橋(ネアックルン橋)”が完成。「橋ができる前は、川岸で一夜を明け、明朝、船で渡らなければなりませんでした」(大手日系物流企業)と言われた同回廊最大のボトルネックを解消させた。これにより、ホーチミンとバンコクが一本の道路で結ばれ、輸送日数は短縮。今後は、タイからカンボジアを経由してベトナムで船積みして輸出や、未だタイより人件費の安いベトナム(ホーチミン)で製造した半製品をタイで完成品として、輸出またはバンコクで消費する際の工程短縮など、輸送日数が短くなることでの恩恵はさまざまだ。

インドシナ半島のほぼ中央を横断する東西回廊は、ベトナムの首都ハノイ、ラオス、タイ、ミャンマーの4ヵ国をつなぐ。現在はハノイに多数ある工業団地とタイ・バンコク周辺の工業団地を結ぶラインが物流のメインだ。ラオスの首都ビエンチャンは通らず(工業団地はあるが)蚊帳の外で、ある中堅日系物流企業が、将来の物流増を見越し、自前のトラックを持ってラオスへ進出してみたものの閑古鳥が鳴き、駐車場は新品のトラックで満車状態だ。前述の大手物流企業担当が「ラオス発バンコクやハノイの需要は少ないでしょう」と話す通り、あくまで、タイ・バンコク〜ベトナム・ハノイもしくはダナン港間の双方向物流は、ラオス国内で積み荷を載せ替え、互いの国へ戻るのが主流だという。それもそのはず。ラオスの人口は約600万人強で、安価な労働力は魅力だが市場としての価値は薄い。とはいえ、同国政府もいつまでも、素通り国では経済発展は望めない。経済特区政策を立ち上げ「パクセー・ジャパン中小企業専用経済特区」を進めているが、同国で享受できる企業は限られる。

 


安価な労働力5000万人消費市場

一方、同回廊のラオス(デンサワン)とベトナム(ラオバオ)国境では、GMS協定に基づき、国境手続きの簡素化のパイロットプロジェクトが実施されている。15年に開始した“ワンストップショップ”では、通常、両国で行われる出入国検査を、互いの国側に両国のイミグレーションスタッフを配置することで、ワンストップで検査を行う。

これにより、国境検問所での通関手続きや人の出入国にかかる時間が半減。加えて、新しい電子通関システムの導入で、さらなる待ち時間の短縮や通関手続きの精度向上が図られているが、未だ両国間では異なる関税規則があり、モデル事業の成果が評価されるには、まだ少し先となりそうだ。

逆に、東西回廊を真西へタイ国道12号線を横断。すると対ミャンマー国境につながるタイ北西部ターク県メーソートへ到着する。

ご存知の通り、ミャンマーは11年まで軍事政権による圧政で、国民の自由と経済が著しく制限されてきたが、民政移管で外国への門戸が開かれ、一躍、投資先注目国となった。ある日系商社マンも「アジア各国で賃金上昇が続く中、同国はアジア最後のフロンティアかもしれない」と話すほどで、安価な人件費を求めた工場進出に加え、人口約5000万人という手つかずの消費市場を狙う企業は多い。

この勢いを後押ししたのが、長くボトルネックだった、ミャンマーに入ってすぐの山越え区間(ミャワディ〜コーカレイ)に完成した新たな幹線道路だ。15年6月の開通前までは、軍政時代に整備された山岳道路で結ばれてはいたが、道幅が狭く1日おきに進行方向の変わる一方通行の道で、輸送は通行可能日を選び、なおかつ、未舗装で道幅狭い悪路を通らなければならなかった。当然、輸送日数もいまの倍以上を要した。新ルートの完成で、移動時間は従来の3分の1以下に短縮。ミャンマー・ヤンゴンへの物流は日に日に増し、同路線には大型トレーラーが列をなす。これにより、ベトナム(ハノイ・ホーチミン)からインドネシナ半島を横断し、ミャンマーまでが1本の道路で結ばれ、一部未開発地域を除き、GMS経済回廊は完成した。

物流専用の道路整備や高速道路、道路拡張といったハードインフラも着実に整備が進んでいる。同時に、GMS加盟国で批准する越境交通協定(CBTA)の拡大も、各国の制度改正が進むに連れて、通関手続きの簡素化もより一層広がるだろう。数年前「ASEAN統合は遅々として進む」と言われてきたが、“着実に進んでいる”と表現を変えざるを得ない。

現場では、SEZ(経済特区)、工業団地、大型商業施設など、官民一体の取り組みもあった。中国やタイ企業(ビッグC、PTT、アマタなど)のようにトップダウン型の企業は、スピードを生かし、かつ、したたかに進出しているようだ。そしてカジノは、ほぼすべての国境に存在した。“GMSはつながっている”という認識は、今後の企業戦略に大きく影響を及ぼすだろう。ASEANの成長スピードは、想像以上に加速している。

 

企業一覧

 

BANGKOK KOMATSU FORKLIFT CO., LTD.

フォークリフトの販売・メンテナンス

HINO MOTORS SALES (THAILAND) LTD.

トラック・バスの販売及びアフターサービス

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(THAILAND) LTD.

総合物流(輸送・保管・配送、フォワーディングなど)

KONOIKE ASIA (THAILAND) CO., LTD.

海外フォワーディング、通関、倉庫・国内配送、クロスボーダー輸送、事業投資など

KWE-KINTETSU WORLD EXPRESS

(THAILAND) CO., LTD.

陸・海・空国際貨物、倉庫業、通関業

NICHIYU ASIA (THAILAND) CO., LTD.

バッテリーフォークリフトの販売

NITTSU LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.

海上フォワーディング、国内ロジスティクス、クロスボーダー、通関手続きなど

NNR GLOBAL LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.

陸・海・空のあらゆる輸送ツールを駆使した複合一貫輸送

SANKYU-THAI CO., LTD.

物流、プラント・エンジニアリング、オペレーションサポート

SANWA KEIDEN (THAILAND) CO., LTD.

中古フォークリフトのレンタル・販売・修理・
オペレーター教育、OA・省エネ等の提案

SG SAGAWA (THAILAND) CO., LTD.

国際輸送(航空・海上・陸送)、国際宅配便、
国内輸送、倉庫保管・物流加工

SUMIPOL CORPORATION LIMITED

一般・切削工具、計測機器、工作機械の販売・サービス

THAI NAKANISHI CO., LTD.

物流関連機器の開発・カスタマイズ及び販売

THAI-LIAN FORKLIFT CO., LTD.

フォークリフトの販売(新車・中古)、リース・レンタル、修理、その他関連品の販売など

TOYOTA TSUSHO FORKLIFT

(THAILAND) CO., LTD.

豊田自動織機社製フォークリフトのレンタル・販売・保守メンテナンス

TRUE OKURA CO., LTD.

各種物流システムの企画・製造・販売

UPR (THAILAND) CO., LTD.

パレット及び物流機器の販売・レンタル

YUSEN LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.

陸・海・空すべてのモードで世界中で貨物を輸送する国際総合物流

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