インタビュー タイの新潮流
WiSE編集部 RyDEEN Co., Ltd.
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2016.12.07

日タイ修好130周年 2017年は両国の新時代へ

2016年が終わろうとしているが、世界的な景気減速からは抜け出せていない。多くの日系企業が進出し、世界が期待するASEANの中心国“タイ”はどう成長するのだろうか。在タイ日本国大使館の佐渡島志郎大使にインタビューした。

在タイ日本国大使館
特命全権大使 佐渡島 志郎

《プロフィール》
さどしま しろう

■福岡県出身。1977年東京大学法学部卒業、外務省入省。15年4月、在タイ日本国大使館特命全権大使。現在に至る。
■愛読書:隆慶一郎
■尊敬する人物:出光佐三、北川フラム
■趣味:ゴルフ、絵画、映画
■バンコクの行きつけの店:フアランポーン駅近く(ラマ4世通り沿い)カモもつそばの店
■愛用の腕時計:アップルウオッチ(G1)
■よく見るまたは、活用しているウェブサイト:Yahoo!JAPAN
■社用車または愛車:日産TIIDA(日本)

 


 

2016年も師走を迎えました
皆さんも同様のお気持ちだと思いますが、 タイに住まわせていただいている以上、感謝の念は尽きません。10月13日にご逝去されました、プミポン前国王陛下のありし日の姿を偲び、ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。多くの方が心配された経済活動の停滞は、タイ政府のマネジメント力によって主だった影響はありません。落ち着いた雰囲気の中、新年を迎えられるのではないでしょうか。

プラユット暫定首相の手腕が発揮されているわけですね
いくども面談しておりますが、同首相は茶目っ気のある方で、キュレーション能力の高い御仁だと思います。以前、お会いした際に、ゆるキャラ“ムエタイシ”の名刺を渡したところ、その印象を覚えてくれていたのでしょう。先日、再会した折には、ファイティングポーズで出迎えてくれましたよ。あるASEAN経済共同体(AEC)の会議で同首相が司会を担当した際、何十ヵ国の発言者の言葉を覚えていて、議題が移る際に「先ほど◯◯国の◯◯さんが◯◯と発言されていましたが」と完璧にこなされていました。非常に雄才のある方という印象を持ちました。経済面で、3%超の成長率(実質GDP成長率)を達成していることからも、首相をトップとした各省庁(行政)が機能しているということでしょう。

AECが発足しました
発足後、すぐにトップギアに入ることはありません。ただ、先日、隣国に面する国境付近を視察してきましたが、地方の自然あふれる場所にロビンソンが建ち、ヒト・モノの流れを感じることができました。日本としても、インフラ支援、電力融通といったハード面のほか、通関の制度支援など、あらゆる角度からの支援を考えていく必要があるでしょう。

タイがイニシアチブをとるわけですね
域内全体を見渡していくことが大事になると思います。タイ政府も中進国の罠からの脱却を掲げています。ただ、タイは高齢化社会に突入し、労働供給力も減ります。日本と同様に、今後はどう生産性を高め、経済成長を持続させるかが大きな課題です。
一方で、日系企業は約5000社(JCC加盟1700社超)あり、日系企業とタイ経済のつながりの大きさを示しています。タイの命運は日本の戦略的な利益とも合致するということです。
これは、将来の労働供給や高付加価値品の創造にも関わるのですが、就任以来、継続してきた政策目標に人材育成があります。その一貫として、ピッサヌローク県にあるチュラポーンサイエンススクール(日本のスーパーサイエンスハイスクール)を視察してきました。理数系教育に重きを置き、かなり高いレベルの人材教育に仕上がっていました。ただ、現状は人材の輩出数は少なく、今後は日本の雇用ビジネスにどうつなげていくか、引き続き注力していきたいですね。

新たな政策目標を拡大版として発表されましたね
就任時(2015年5月)に打ち出した5つの政策目標を10に拡大させました。前述した産業の高付加価値化や人材育成・研究開発への協力のほか、AECによる域内活性化に向けた道路、橋、鉄道、情報通信ネットワークといった質の高いインフラ整備と、それに伴い需要増が進むエネルギー面のサポートですね。これは、日本の得意分野であるITや環境技術を駆使して省資源化を徹底した環境配慮型都市(スマートシティ)への支援などです。
より具体的な政策としては、今年8月に開いた、タイのスタートアップ企業(日タイ)と日タイの大手企業をつなぐことを目的とした「Embassy Pitch(エンバシーピッチ)」のように、タイの産業高度化にもつながるイノベーション力を高めるサポートを続けていきます。

2017年は、日タイ修好130周年ですね
服喪期間であることは考慮しつつも、日タイにとって非常に重要な周年を記念する催しは進めたいです。文化を重んじた亡き前国王のためにも、文化・教育行事のさらなる拡大を図りつつ、国民レベルの相互理解をより深める1年とします。

来年も、忙しくなりますね
大使館は、政治・経済・生活をつなげることができる数少ない機関です。だからこそ、“チーム佐渡島”は、草の根協力から日本政府の代理としての役割をきちんと果たした上で、日タイの利益に貢献し、かつ、日タイの強い関係づくりに尽力していきます。


 

編集後記
あらゆる取材先で拝見する佐渡島大使に、2016年の新潮流のトリを務めていただいた。どの会場でも、気さくに振る舞い、先日の情報通信技術の展示会「ITUテレコム」では、脳波で動くネコ耳をつけて、シリントーン王女とプラユット暫定首相をエスコートするセンスには感服した。新進気鋭のスタートアップと大企業を両国政府が後ろ盾する「エンバシーピッチ」も大使の英断があってこそ。在タイ日本人の代表としての役割を熟知した御仁だった(北)

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