インタビュー タイの新潮流
WiSE編集部 RyDEEN Co., Ltd.
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2017.01.24

普及率の低いエアコン市場が◎ BtoBでもブランド力を高めます

日本を代表する一大家電ブランドの“パナソニック”。日本人では誰もが知るメーカーだが、意外にもタイでの知名度は高いとはいえない。今後の巻き返しを図るための2017年の戦略や注力していく製品など、現法トップの野元社長に話を聞いた。

パナソニック マネジメント タイ
社長 野元 毅

《プロフィール》
のもとたけし

■1959年、鹿児島市生まれ。九州大学卒業。82年、九州松下電器入社。01年、マレーシア九州松下電器・取締役。10年、パナソニック・システムネットワークス・ベトナム副社長。15年、同社、パナソニック・タイ社長、パナソニックAP販売タイの3社を兼務。
■座右の銘:中庸
■愛読書:内海隆一郎
■尊敬する人物:松下幸之助
■趣味:ゴルフ、囲碁
■バンコクの行きつけの店:日本亭、鮨凛
■愛用の腕時計:ROLEX DATEJUST
■愛用の鞄:ZERO HALLIBURTON
■社用車:LEXUS
■休日の過ごし方:ゴルフ、会社のイベント

 


 

注力している事業を教えてください
パナソニック全体としては、家電、車載、住宅、BtoBに力を入れています。タイは自動車産業が大きく、家電以上に車載向けの製品が多いです。カーナビ、カーオーディオ、ETC読取器や各種センサーなど多岐に亘ります。タイで生産している約半分が自動車産業向け製品です。
マーケットとしては、アジアを“家電の成長エンジン”だと位置づけています。また、ベトナム、インドネシア、フィリピンの頭文字からその3ヵ国をVIPと呼び16年度からはタイが加わって、VIP+タイの4ヵ国がアジアマーケットの柱となります。
マーケットはその4ヵ国、そこに4つの重点製品を定めました。エアコン、冷蔵庫、洗濯機、TVです。特にタイは中高所得者が多く、“プレミアム商品”と言われる高付加価値製品の需要が高まると考えています。エアコンはインバーターモデル、冷蔵庫なら高容量、洗濯機で言えば大型、TVは4Kなど。
何より牽引しているのが、エアコンです。ただ、エアコンは他社も大きく伸ばしているので、当社としては他社以上に伸ばし、シェアアップを目指しています。

タイ工場ではどんなものを生産していますか
自動車産業向け製品が約半分を占めますが、その他4つの重点製品の中では、タイで生産しているのは冷蔵庫と洗濯機で、TVとエアコンはマレーシアで生産しています。その他にも乾電池、ヘアードライヤー、モーターなども生産しています。

今後の具体的な戦略を教えてください
タイでのパナソニックのブランド力を復活させたいですね。タイでは4つの重点製品とも市場の競争が激しく苦戦していますが、総合力で勝負していきたいと思います。
乾電池については、タイ全土の8割以上のシェアを占めています。タイにセブンイレブンは9000店舗以上あるのですが、全店に弊社の乾電池を置いていただいています。また、ヘアードライヤーなど美容家電は、タイは東南アジアでは最大規模の市場です。タイの方々は美容に関心が高いようですね。弊社もタイで生産し、日本にも輸出しています。日本でのシェアはNo・1でタイにおいてもシェア1、2位を争っています。今後は重点製品でのシェアアップを狙いたいと考えています。

タイはどんなマーケットだと想定しますか
タイは省エネの基準が、アジアで一番厳しいわけです。そして、品質の高いものでないとお客様には訴求できません。エアコンはデザインの良し悪しよりむしろ、性能がポイント。また、タイは電気代が高いですよね。そのため省エネタイプのインバーターモデルにシフトしています。さらに、タイは意外とエアコンの普及率が低く、普及率において、冷蔵庫9割、洗濯機6割以上ですが、エアコンは2割ほど。バンコクでみれば、6割ほどですが、まだまだマーケットは伸びしろが大きいのです。
また、我々はこれまでBtoCを中心とした量販店などに主に販売しておりましたが、今後はデベロッパーと組んだ住宅関連事業やBtoBの事業にも力を入れて行きたいと思います。
あとは広告宣伝を増やしたいですね。まだまだ我々はマーケットに対して手つかずですし、店頭での拡販策だけでは限界があり、広告宣伝も戦略の骨子であると考えています。

今年はどのような年になりますか
来年18年がパナソニックの創業100周年にあたります。また、20年の東京オリンピックではオフィシャルスポンサーを務め、昨年進出55年を迎えたタイ工場は、実は松下電器(旧社名)の初の海外工場として思い入れがある土地。いろいろなトピックがありますので、仕掛けていきたいですね。

海外経験が豊富と聞きました
01年から、経理を中心に管理部門担当取締役として、マレーシアに4年2ヵ月赴任していました。その後、10年からベトナム・ハノイで4年4ヵ月、15年の4月付でタイに来ました。今は販売会社も含めた3社のトップを務めています。これで東南アジア3ヵ国目になりますが、いずれの国も親日的でした。通算で10年を超えますが、ずっと家族帯同させていただいています。

タイはどうですか
寛容な国ですよね。歴史的にも、気候風土からくるのか、人柄はとてもウェルカムで、多様性に富み、先進的な国だと思っています。同国に貢献しつつ、弊社も発展できればと思います。


 

編集後記
社員1万4000人以上のタイで、日本を代表するブランドを託されている社長が、経理出身というのは少なからず驚きだった。大学卒業後、公務員になる予定が、“たまたま”受けた松下電器に入社し、今ではタイの舵取りに。海外経験について笑いを交え、丁寧に話す姿は、人間味あふれながら、それでいて細部までの説明が経理出身ならではの緻密ぶりを感じさせる。聡明さと冷静さを兼ね備えたタイトップの興味深い話に引き込まれずにはいられなかった。(北)

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