インタビュー タイの新潮流
WiSE編集部 RyDEEN Co., Ltd.
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2017.03.08

タイ政府が本腰入れたIT化社会を全力で支えます

昨年、タイではデジタル経済社会省が発足。2017年は、タイランド4・0を掲げ、デジタルエコノミー政策=ICT技術を活用した新時代の構想を打ち出した。活躍必須のITコングロマリッド「NEC」のタイ現地法人を牽引する、鹿野孝幸社長をインタビューした。

NEC タイランド
社長 鹿野 孝幸

《プロフィール》
かの たかゆき

■1965年生まれ。大阪府出身。東京工業大学卒業。1987年にNEC入社〜現在に至る。
■座右の銘:七転び八起き
■愛読書:色々読みます。(北方謙三、大沢在昌、山崎豊子、ダン・ブラウン等々、特にこの分野というのはありません)
■趣味:サッカーを主体とするスポーツ観戦、ゴルフ
■バンコクの行きつけの店:スクンビット周辺の居酒屋、タイ料理屋
■愛用の腕時計:ORISとSEIKO
■よく見るまたは、活用しているウェブサイト:Yahoo、日経電子版
■休日の過ごし方:ゴルフ、読書、洗濯
■社用車:Lexus

 


 

NECを語るには、ITコングロマリットが一番わかりやすいでしょうか
仰るとおりです。弊社の歴史は古く、設立は1899年に遡ります。一昔前までは、家電、PC、携帯といった製造メーカー色が先行していましたが、現在はICTを使ったインフラ・企業・街づくりなど、人が関わる社会そのものを構築しています。掲げるテーマは、“社会価値創造”です。地球規模で進む、人口・エネルギー・食糧・水の需要増や温室効果ガス問題に対し、どう対応するか、壮大なビジョンで事業展開していますから。ただ、宇宙関連事業(学術・商業)もあり、事業全体を簡単に説明するのは難しいですね。

タイ進出も長いですよね
タイ進出は50年の歴史があります。外資でありながらタイIT業界の草創期(パイオニア)からです。現在では、日本と同様の事業を展開し、日本版NECをコンパクトにした事業領域でしょうか。関連企業を含めると、5つの事業会社で成り立っています。中でも、最近力を注いでいるのが、製造大国ならではの取り組みです。昨年は、在庫管理、リードタイムの短縮、コスト削減など生産現場の課題解決を提案する「ものづくり共創プログラム」を開始いたしました。ものづくり企業でもあるNECグループが、自社の経験から学んだノウハウを日系メーカーに提案していくプログラムです。弊社は、幅広い事業を持ち、多くの成功・失敗経験から生産革新を積み重ねてきました。タイのものづくり現場の改善ニーズに、こうした経験を役立てていきたいです。
他にも、顔認証などの生体認証システムの分野にも力を入れています。弊社の顔認証技術は、NISTという米国の第三者機関から世界最高の精度を有するという評価を受けており、これまで世界40カ国以上に導入されるなど、競合他社を寄せ付けない競争力を持っています。この技術を核にして、例えば防犯カメラ映像の高度な解析を可能にするシステムを提供し、事件や事故を未然に防止して安心・安全な都市生活を支えたり、空港や港湾などの重要施設のセキュリティを強化して、テロの脅威から市民を守るといった貢献をしていきたいと考えています。顔認証は、セキュリティ分野だけではなく、オフィスや工場の入退出管理や、店舗の来店者の年齢や性別を推定してマーケティングに役立てるなど、応用も可能で、様々な分野で活用してもらいたい技術のひとつです。

昨年は、デジタル経済社会省が発足しました
同省は、旧情報通信技術省(ICT省)から改組した組織で、タイ郵便、TOT公社・CATテレコムといった国営通信会社などを管轄します。そして、タイ政府が目下力を注ぐのが、デジタルエコノミー政策です。先ずはタイの全国民が高速インターネットを使えるよう、インフラ整備を進めています。
その後は、IoT(Internet of Things/もののインターネット)の先端技術を用いた、基礎インフラと生活インフラ・サービスの、効率的な管理・運営が重要になるでしょう。環境に配慮しながら、人々の生活の質を高め、継続的な経済発展を目的とした“スマートシティ”開発にも注目が集まっており、プーケット、チェンマイ、コンケーンの3県が候補地として選ばれました。おかげ様で、弊社の力が活用できる分野が目白押しです。
例えば、ITインフラの下支えでもある通信インフラでは、昨年11月、弊社が、日本を含む東南アジア諸国を結ぶ大容量海底ケーブル「アジア・パシフィック・ゲートウェイ(APG)」の工事を完了させ、 タイ日含めた通信会社各社に引き渡したばかりです。APGは日本、韓国、中国、台湾を経てベトナム、タイ、マレーシア、シンガポールを結ぶ全長1万キロ超の光海底ケーブルです。ICT分野で、“ありとあらゆるサービスと独自の技術”を保有してきたことが花開く時代かもしれません。失敗も含め、無駄はありませんでした。貢献できる領域が広がっているのを肌で感じます。

海外畑と聞きました
海外営業が長く、北米やアジアを担当。直接的な海外赴任はタイ(1994〜99年)、インド(2008〜11年)インドネシア(13〜16年)、タイは2回目ということもあり、マネジメント面では、知る顔も多くやりやすいですね。
政府も本腰を入れて、IOTに力を注いでいます。まさに2017年は、IT新世紀に向けたスタート年で、やりがいは大きいですね。


 

編集後記
NECの記事を書く際のフレーズのひとつに「ICT分野で“ありとあらゆるサービスと独自の技術”を保有する」と書くことが多い。日本時代は、芝にある同社本社ビル(通称ロケットビル)に足繁く通ったことを思い出す。小惑星探査機「はやぶさ」で一躍有名となったが、同社の宇宙事業取材は大人の社会科見学だったし、未来都市スマートシティでも無くてはならない存在だ。まさにIT“コングロマリット”。デジタル経済社会省が発足し、タイはIT新世紀を迎えた。鹿野氏の言う“やりがい”しかない年がスタートした(北)。

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