インタビュー タイの新潮流
WiSE編集部 RyDEEN Co., Ltd.
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2017.04.18

高齢化に向けた 医療用食品の強化を目指します

日本トップクラスの製薬企業であり、早い段階から世界進出の足がかりを築いてきた「大塚製薬」。海外初の進出先となったタイに居を構え、44年。昨年は医療用食品の新工場も設立し、さらなるマーケットの獲得に乗り出している。伝統の地で舵を取る湯浅真祐社長にインタビューした。

タイ大塚製薬
代表取締役社長 湯浅 真祐

《プロフィール》
ゆあさ しんすけ

■ 1980年生まれ、同志社大学商学部卒業、大塚製薬入社後、国内でMR(医薬情報担当)を経て、
ベトナム・ホーチミン駐在、エジプト・カイロ駐在の後、2015年8月より現職。
■趣味: ゴルフ、子供と町中を探検すること
■バンコクの行きつけの店: 酒の店(タニヤ)、WALDEN(ソイ31)、Outer Room(ソイ23)
■愛用の腕時計: 妻から贈られた、万歩計と睡眠時間を計れる機能付きのスマートウォッチ

 


 

大塚製薬といえば、「ポカリスエット」など消費者商品が有名です
弊社は、日本では“ニュートラシューティカルズ(Nutraceuticals=Nutrition(栄養)+Pharmaceuticals(医薬品)”、いわゆる一般向けの健康食品と医薬品を扱っていますが、実は、売上の7割は医薬品です。タイでは医薬に特化していまして、主に輸液(水分や栄養を補給するための点滴)、経腸栄養、治療薬、医療機器販売を行っています。
1989年から、サムットサーコーン県の工場で経腸栄養製品(医療用食品)も生産していまして、現在のシェア20%から、5年後には32%へ拡大すべく、昨年9月に新工場を建設しました。

医療向けの食品に力を入れていくわけですね
一般的にヘルスケア産業は、国の経済成長率以上の成長を示します。日本でも2桁以上の成長を示すこともあり、景気動向を受けにくく、どの国においても成長産業なのは間違いないと確信しています。
タイの場合はASEANの中で、最も高齢化が進んでいる国。高齢化に伴い、疾患、病態が多様化しています。健康に対する関心が、タイの国民の中で非常に高くなってきています。
タイの特徴は、統計では見えにくいのですが、バンコクなどの主要都市における富裕層、ホワイトカラーは購買力がとても高いんです。ですので、弊社の医療用食品を含む健康食品の需要は、今後も力強く伸びていくと思います。

タイの高齢化市場に勝算はあると
日系企業は、日本における健康関連の製品の開発が盛んであり、機能の高い製品を有しています。実際、多くのタイの方が日本へ旅行をしていますが、お土産に健康食品などを購入している方が周りにも多く見受けられます。また、同市場では日本での経験・知見を生かせますし、そこに商機があります。そして、タイの人々に対する医療貢献を行うことは、我々のミッションでもあります。
タイでは、高齢化と生活習慣の変化に伴い、先程も挙げましたように、病態が多様化しており、脳梗塞、心筋梗塞、がん、糖尿病の患者さんの数が増えているとタイの医師から伺います。
また、日本では、例えば後遺症が残った患者さんに対してリハビリテーションなどが整備されていますが、タイではこれから充実していくと伺っています。そこに対するビジネスチャンスというのも、間違いなく出てくると思います。

今後の展望をお聞かせください
我々が重視している領域、経腸栄養には2通りあって、一つは、経口摂取ができない方向けの経管投与(チューブフィーディング)。これは経腸栄養製品の市場の中で約3分の1を占めます。
もう一つは、経口摂取できるけれど、普通の食事では実現不可能な栄養素を配合した医療用食品。例えば、糖尿病の方には、GI(食後血糖値の上昇度を示す指標)を低く抑える特殊な食物繊維に血管に良いオメガ3系の脂肪酸を組み合わせるなど、各疾患に適した栄養素配分の製品を作っています。
我々は病院市場に比べ、一般消費者向けの薬局市場があまり強くないので、今はそこの強化に乗り出しています。そう簡単に伸びるとは思いませんが、元々製品に対する高い評価はいただいていますし、現地製造で価格的にもリーズナブルですので、期待は大きいと思います。
現在、様々な疾患に適した新組成だけではなく、粉状の製剤以外に、液体ですぐに飲めるような製品についても開発を進めています。消費者、患者さんの利便性を高めるために、(開発を)急いでいるところです。
また、タイ国内の一次産品を使ったゼリーやバータイプの医療用食品の製品開発も行っていけたら。我々の製品で、タイの健康・医療の現場にイノベーションを起こしていきたいと思います。

着任から1年半経ちました
タイには縁があり、親の転勤に伴いバンコクの日本人学校に通っていました。そのため土地勘もあったし、言葉も勉強していたので非常に親しみのある国ですね。会社に入った際も、ゆくゆくはタイで働きたいと思っていました。
大塚製薬へ入社したのは2003年で、09年にはベトナムに赴任し、中東などにも行っていましたから、半分以上は海外で過ごしてきたことになります。振り返れば、タイに来る前に色々な土地での経験を積むことが出来たのは、仕事の面では良かったですね。


 

編集後記
急速なペースで進むタイの高齢化に向け、同市場のシェア取り込みを狙うべく誕生した医療用食品の新工場は、年間3千トン。同敷地内にある既存工場と比べて約4倍の生産力があるという。また、医療用食品で成長を続ける一方で、治療薬の自社開発の治療薬事業においては、今年から新薬を導入する予定とのこと。現法としてスタートし、44年。タイにおける大塚製薬の存在感とさらなる勢いを、感じずにはいられない。(青)

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