インタビュー タイの新潮流
WiSE編集部 RyDEEN Co., Ltd.
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2017.10.04

祝100回 ニッポンの底力 地方企業がタイで生きる術


《プロフィール》
きたがわ ひろし

■1977年生まれ。北海道帯広市出身。大学卒業後、建設業界紙、地方紙、経済誌記者を経て、
2013年からタイ・バンコク在住。タイNO.1日本語メディア『WEEKLY WiSE(週刊ワイズ)』編集長。

 


《プロフィール》
いわもと じゅんいち

■1962年生まれ。北海道札幌市出身。1986年大学卒業後、北陸銀行入行。札幌、金沢、富山、東京、
ニューヨーク、ロンドン、シンガポールなど13回の異動を経験後、2015年7月から現職。愛読書:P.Fドラッカー「プロフェッショナルの原点」。

 



《プロフィール》
たなか まこと

■1974年生まれ。福井県出身。1998年大学卒業後、福井銀行入行。過去、上海に2度赴任し、
2017年1月からバンコク駐在。「タイ・中国・福井の視点で、福井県企業の海外ビジネスをサポートしていきたいです」。



《プロフィール》
わたなべ たかし

■1975年生まれ。北海道出身。1997年大学卒業後、札幌銀行(現北洋銀行)入行し、
支店業務にて渉外・融資課を経て、2017年より現職に。趣味:家庭菜園・料理。

 


 

3行ともに比較的、事務所開きは最近ですね
北洋銀:渡辺 2014年1月です。北海道からは製造業の進出は少なく、訪日インバウンドやアウトバウンド関連のほか、サービス業の進出支援がメインですね。タイでは、北海道ブランドが確立されているので、イベント協賛や北海道から来タイする行政や観光関連企業への情報提供及び現地アテンドやアレンジ業務が多いです。
北陸銀:岩本 事務所設立は2012年です。ほくほくフィナンシャルグループには、北海道銀行も属していますので、北海道に関係する業務もありますが、主には北陸地方から進出する製造業へのサポートです。提携するカシコン銀行への出向者とも連携し、数百社ある進出企業と密接に情報交換することで、地元企業への情報提供や進出支援も行っています。担当地域がカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムのいわゆるCLMVも管轄のため、最近では販路拡大やサプライヤー調達先の多様化に、ネットワークを活用してもらえるよう情報提供が多いですね。
福井銀:田中 2014年ですから一番、若い事務所ですね。多くの業務は2銀行と同じです。福井県庁、商工会議所、JETRO福井など関連機関で構成する福井貿易促進機構のASEAN窓口も担っているので、貿易という形で調達・販売支援が増えています。

景気や経済成長が鈍化していると言われるタイですが、足元の状況はいかがでしょう
田中 製造業の進出や工場設立の話は4〜5年前をピークに減りましたね。福井県は繊維・縫製業といった労働集約型が多いので、タイ+1としてCLMVへの進出話が増えています。タイに関しては、原材料の調達や販売が増えています。
岩本 市場での競争が激しい中、進出は一巡した感じです。それでも、独自の技術を持つ企業や自動車のモデルチェンジなどで、設備拡張の話は出てきています。
渡辺 北海道は、飲食、IT、観光といったサービス業が主ですが、相談はあります。ただ、実際に進出するかというと慎重になっている感じですね。バンコクは市場としても魅力はありますが、競走も激しく難しい側面も持っています。国民の所得増とサービス需要の伸びでは、バラバラな感じもしているので、リサーチに時間をかける企業が増えていますね。

タイからのニュアンスは地元へどう伝えていますか
渡辺 市場の価値をそのまま伝えています。ただ、大事な点は日本の市場がないからタイへの進出ではなく、第二創業の気持ちで来ていただければと思います。タイの富裕層もさほど多くはなく、もしかしたら、日本国内の方が市場として優れている場合もあると思いますし、国内進出の方がリスクが少ない場合もあると思います。国内でうまくいかないことが、タイでうまくいくとは思えませんので、しっかりと市場調査を行った上で、タイを知り、進出していただければと思います。
岩本 人口減や2020年の東京オリンピック後への危機感を抱いている企業は多いですよ。実際、タイ政府がタイランド4.0を目指して進める東部経済回廊(EEC)構想を狙って、高度な技術が必要な医療、機械、電気・電子部品の企業は情報収集に余念はないようです。
田中 これは福井県だけの話ではないのですが、ここ最近の日本では上場会社等、大企業を中心に軒並み過去最高益を出すといった景気の良い話も多くて、漠然とした将来的な課題(人口減)はあるものの、実際に海外へと動く企業が少ないのが現状でしょう。

つまりは日本を出る必要性がないと
一同 問題意識の高い経営者が率いる一部中小企業では活発な動きは見えますが、全体では前述の通りということです。

世界的なキーワード「食」での動きが多いと聞きます
渡辺 北海道から視察にくる方の約2割は農業関係者です。ただ、タイの農業行政機関はあっても、民間の相談を聞く組織がタイにはなく、話が進まないのが現状です。農業関連をワンストップでサポートする窓口があると良いのですが。
田中 福井県の例ですと、種や稲を海外に運び、農業生産を開始する企業が増えています。タイではありませんが、ベトナムでの米もそうですし、バングラデシュではソフトシェルクラブの養殖を始めた企業もあります。

今後のタイはいかがでしょう
岩本 可能性は極めて高いですよね。特に人材面ですね。昔は、タイへ指導するために日本の技術者が訪れていましたが、最近では、日本の学生がタイの現場を訪れ、卒業後にタイに来るというケースが増えています。タイの市場としての価値が高まり、またあらゆる産業が発展・成長過程にあることで、日本人にとってもグローバルな人材へ成長するための場所と位置付けられた証拠でしょう。
後は、海外から見ていると世界、特にアジアは急激に変化していますよね。日本も、訪日増や人材受け入れを進める中で、海外企業や海外人材との競争が起きてくると思います。学生も学校もそうです。急激な競争に対して、対応し切れなくなっている気がします。これまで、島国ということで、政治も企業も内向きな体制が敷かれていて、息苦しさもあると思います。逆にタイは、国際化が進んでいる国だと思うんです。世界的な観光受け入れ国であり、また、多くの外資を受け入れてきたことで、インターナショナルな教育体制も整っています。そうした面では、日本はタイから学ぶもこともあります。進出先ではなく、タイをそういう風に見ればいいのかなと思うんです。
田中 今後、タイは少子高齢化により産業構造の転換を向かえると同時に、消費市場としての価値もまだまだ高まります。まだまだ足りない業種もあり、チャンスは増えると感じています。そうした中、他国の進出企業との競争も激しくなるでしょうし、共存共栄ということも考えていく必要もあります。

皆様、ありがとうございました。

Bhiraj Tower 31階・週刊WiSEオフィス
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