インタビュー タイの新潮流
WiSE編集部 RyDEEN Co., Ltd.
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2017.10.17

「監督よりもプロデューサーを育てる」

国際交流基金バンコク日本文化センター
吉岡 憲彦

《プロフィール》
よしおか のりひこ

■1974年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。96年入社~現在に至る。
■座右の銘:メメント・モリ
■愛読書:カズオ・イシグロ、藤沢周平
■趣味:読書、映画・舞台鑑賞
■バンコクの行きつけの店:Toby’s
■休日の過ごし方:仕事やイベントがなければ子どもと遊ぶ
■社用車または愛車:スバルXV(愛車)

 


 

活動内容を教えてください
国際交流基金は1972年に設立され、現在は外務省所管の独立行政法人として、日本と世界各国の国際文化交流を図っています。活動内容は大きくわけて3つ。1つは、文化芸術交流と呼ばれる、映画、演劇、音楽といった感性で楽しむ分野での交流です。2つ目は、日本語教育です。日本語を勉強したいという学習者と、日本語を教える教師の両方への支援を行っています。日本語を始めるきっかけは、アニメやマンガが多いのですが、きっかけはどうあれ、「もったいない」、「わびさび」など、言葉の背景にある文化まで理解してもらうのが理想です。最後が、日本研究・知的交流の分野です。これは、日本の歴史や古典文学、政治・経済といった専門分野を研究する機関・個人への支援です。フェローとして研究者を日本に招聘したり、特に人文・社会科学の分野でセミナーや国際会議を開いたりしています。

訪日需要も増加していますし、交流は深まるばかりですね
まだまだ日本に行きたくても行ったことがない方がいらっしゃったり、日本を旅行してみて、かえって日本のことがわからなくなった方もいらっしゃいます。ちょっと旅行しただけで、ある国の文化を理解したことには、ならないですよね。私たちが事業を企画するうえでは日本文化について、「もう一歩」深い理解や知識、発見が得られるように工夫し、地方に届けることも意識するように気をつけています。

日本語教育はいかがでしょう
これだけ日系企業が進出していれば、日本語を学び、日系企業へ就職したいという若者も大勢います。当基金の調査(2015)によれば、タイの日本語学習者は、約17万人。世界第6位の人数です。特に、中高生に、約14万人の学習者がいるというのが嬉しいですね。タイの中学・高校における第2外国語の学習者数は、中国語に次いで、日本語が2番目に多い。面白いことに、第2外国語を選ぶにあたって、親と相談させる学校では中国語が多く、生徒に自分で選択させる学校では日本語が多くなる傾向にあるそうです。というのも、親は「将来役に立つ言語だから」と考えて子どもに中国語を学ばせたいと思うけれども、子どもはアニメやマンガの影響で、自分で選べるのだったら日本語を勉強してみたいと思うらしいのです。

バンコクでは、日本文化に触れる機会が多いですね
最近、力を入れているのは、文化芸術分野の高度人材育成です。タイにも優れた音楽家や映画監督など、世界的に活躍するアーティストや、ポテンシャルのある若手も多いんですが、彼らの活躍を世界に広め、国際レベルで伍していくためには、アーティスト本人の力だけでなく、演劇や映画で言えばプロデューサー、アートで言えばキュレーターといったような、アーティストに寄り添って彼らの才能をうまく伸ばし、発信していける人材が必要です。そういった広い意味での文化芸術関係の人材育成を通じて、タイの文化芸術の発展や振興に貢献できれば、冥利に尽きますね。

吉岡さんもタイの文化に精通していると伺いました
実は、1999〜2004年までタイに赴任していたので、今回は2回目です。2016年4月から再赴任しています。当時、若手だったアーティストが売れっ子に成長していたり、業界の重鎮に出世していたり、嬉しいことばかりです。

演劇で新たな試みをされると
劇作家の平田オリザさんを呼んで、彼の代表作「東京ノート」のタイ版「バンコクノート」を、タイ人のキャストで上演します。俳優からは、「独特の理論に基づく演技の演出が新鮮で、良い勉強になっています」と、一歩踏み込んだ交流となっています。11月の上演ですので、ぜひ、皆さん足を運んでください。

チェンライの寺院「ワットロンクン」で有名な芸術家、チャルームチャイ・コーシッピパット氏と
チェンライの寺院「ワットロンクン」で有名な芸術家、チャルームチャイ・コーシッピパット氏と

取材・文 北川 宏


 

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