NNR GLOBAL LOGISTICS(THAILAND)

NN2016年は 新ステージで戦い 飛躍期としたい

マネージングダイレクター 野口 文彦

《プロフィール》 のぐち・ふみひこ
■1962年生まれ。福岡県大牟田市出身。84年青山学院大学卒。米国、フィリピン駐在を経て、2013年4月よりタイ駐在。
■愛読書:粗にして野だが卑ではない(城山三郎)
■趣味:音楽鑑賞、ドライブ
■よく見るまたは、活用しているウェブサイト(自社以外):JBpress
■尊敬する人物:王貞治
■バンコクの行きつけの店:金四楼(レインヒル)
■休日の過ごし方:ゴルフ
■愛用の腕時計:アテッサ
■愛用の鞄:TUMI
■社用車:カムリ
 

―タイでの役割は?
弊社では、全世界共通ブランド名として「N N RGLOBAL LOGISTICS」で海外展開しています。1971年の初の海外進出(海外での現地法人設立)を皮切りに、現在は、世界24ヵ国 ・地域94都市に現地法人・駐在事務所を展開しています。タイ進出は、1996年です。当時は、日系製造業の第一次進出ラッシュが続いていました。なかでも、自動車・家電メーカーを中心と するサプライチェーンの構築が急ピッチで進み、日本からの物流サポートをメインとしてお手伝いしてきました。



―代名詞である国際航空貨物がメインですか
物流業界では、早くから国際航空貨物分野に参入しました。当然ながら、現在は海運やロジスティクスなど、総合物流事業を世界で展開しています。タイでも、得意分野を生かしつつ、あらゆる顧客ニーズに応えるのが使命です。ご存知の通り、今年はAECが発足します。域内のヒト・モノ・カネ・サービスが自由に往来できるようになれば、物流業界としてチャンスが増えることは必至です。タイから人件費の安い他国へ部品を送り、アッセンブリしてタイへ戻して販売する動きや、タイの生産物を他国へ送って販売するといった陸路でのクロスボーダー輸送の増加。また、逆に他国から部品を購入し、タイでアッセンブリして輸出する動きも活発になるでしょう。今後は、タイのみならず、ASEANを単一市場として捉えた面での展開が重要となります。



―新たな拠点は、AECも見据えた投資というわけですね
産業集積が成熟したいま、求められるのは、高付加価値サービスです。品質の高さが当たり前の日系物流会社としての責任を果たすためには、設備投資が必要と判断し、2014年4月、自社倉庫を本格稼働させました。これまで、協力会社を通して提供してきた倉庫業務を自前主義にシフトすることで、責任を果たしやすくなりました。立地は、スワンナプーム国際空港そばで、モータウェイ沿い、大消費地であるバンコク、東南アジア屈指の規模の工業団地アマタナコン、タイの輸出入拠点レムチャバン港への物流の動線を意識しました。



―2016年は、新倉庫を武器に新たなステージが待っていると
敷地内には、役割の異なる3つの倉庫を用意しました。なかでも、300㎡×3+600㎡の併せて1500㎡の防塵・空調付き倉庫は、規模感だけでも保有する物流会社は少ないでしょう。半導体といった精密な電子部品=高付加価値品を負荷なく取り扱うこともでき、前述のアクセスの至便さと品質担保の両面保障を提供出来る体制が整いました。新倉庫では、単に荷物を預かり各拠点へ輸送するだけにとどまらず、小分けし、すぐに店頭に並べられる状態で送り届けるサービスも請け負っています。製造業のみならず、流通業界の方にも、活用してほしいですね。



―海外赴任は3ヵ国目と聞きました
海外研修制度で米・ロサンゼルスに1年(1986〜87年)、その後は、90年代に初の海外赴任先として研修先でもあったロサンゼルスに5年。日本を挟み、フィリピン(2008〜11年)を経て13年からタイです。中でも、フィリピンは現地法人立ち上げに携わり、そのままトップとして舵取りをさせていただきました。ただ、ご存知の通り、08年はリーマンショックがあり、立ち上げ早々から困難極まりましたね。



―タイは、いかがでしょう
弊社にとって、タイは最重要拠点のひとつですから、重責を感じています。タイは、進出当初から日系製造業を縁の下から支えるという方針が根付いていますから、同規模の会社に比べ、日本人駐在員の数も多いんです。弊社グループが最も重要視しているのが〝人〞です。人材の層に厚みを持たせ、サービス品質を高めることで、〝人のにしてつ〞と言われるよう日々、努力しています。現地スタッフへも、〝にしてつ〞の一員であることを誇りとして働いてほしいですね。そう思える組織づくりも、命題のひとつです。



―今後は?
赴任から約3年が経ち、新倉庫の本格稼働、AEC発足と基盤は整いました。グループとしても、すでに進出済みの物流部門の拠点を足がかりに、タイでの〝まちづくり〞=デベロップメントにも着手しはじめています。16年は、物流部門だけでなく、グループ全体として新たな飛躍期のスタートになるのではと、期待しています。


 

編集後記
〝にしてつ〞の愛称で知られる西日本鉄道(本社・福岡)。大手私鉄としての顔も然ることながら、物流業界では、国際航空貨物分野のパイオニアとして知られる。意外にも、物流事業の本部は福岡ではなく、大江戸(東京都)日本橋にある。「NNR」の名称を使うのは、地方発祥企業でありながら、グローバル展開でのブランディングができている証拠。取材中、多忙さが垣間見えたが、楽しそうに話す野口氏からは余裕すら感じた。これも同氏の人柄故だろう。まさに〝人のにしてつ〞。(北川 宏)

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