商工中金

「商工中金にとってタイは最重要拠点」
バンコク駐在員事務所所長 原田 朝善

《プロフィール》
はらだ ともよし
■1970年生まれ。神奈川県出身。横浜国立大学経済学部卒業。1993年入庫。国内営業店、本部勤務を経て2017年8月から現職。海外(マレーシア、香港、タイ)、出向(ジェトロ、BOI)を経験。ウェスタン・オンタリオ大学(Ivey)EMBA修了
■座右の銘:求めよさらば与えられん
■趣味:旅行
■バンコクの行きつけ店: 鮨忠、Massilia
■愛用の腕時計や鞄など: OMEGA
■社用車または愛車:Camry
■よく見る(活用する)ウェブサイト:日経、時事通信、Bangkok Post、Financial Times、The Economist、Bloomberg
■休日の過ごし方:映画鑑賞(最近見た映画は「Crazy Rich Asians」) 、ショッピングセンター巡り


 

BOIへ投資アドバイザーを歴代派遣していますね
商工中金が駐在員事務所を設立したのは2012年です。しかし、ご存じの通り、タイ投資委員会(BOI)で唯一の日本アドバイザーは、歴代当金庫から派遣しています。BOIとの提携は1995年です。現在の赤間(商工中金から出向)が9代目ですが、私はその前の8代目でした。

 

振り返れば、12年から3年8カ月ほど出向していましたが、実はその後1年ほど日本に戻り、17年に再び来タイし、現在に至ります。商工中金のASEAN拠点はバンコクにしかなく、同拠点からフィリピンを除く東南アジアと南アジアを担当しています。バンコック銀行に2人、前述のBOIの赤間を入れると、バンコクには4人の駐在員を派遣し、駐在員事務所、BOI、バンコック銀行の三位一体で日本の中小企業支援に取り組んでいます。

 

タイは重要国ということですね
仰る通り、今やタイはASEANの中心であり、ハブという位置付けです。当金庫のお客様だけでも約900社が進出しております。多くが自動車産業を中心とした製造業ですが、最近ではサービスセクターの企業も多く進出され、相談ニーズも多様化しているのが現状です。中でも、最も多いのが商社(卸会社)ですね。それも、日本の製品をタイで売るという単純な考えの方は少ないです。多くの新規進出企業の皆さんが考えるのは、タイだけを点で捉えるのではなく、タイをベースとしたASEAN展開です。タイに拠点を構え、ハブとして、経済発展が期待されるCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)への多面販売を見据えた動きです。製造業も同様です。現在、最も日系企業の進出熱が高いのがベトナムですが、どうしても裾野産業が揃っていないので、部品や原材料はどうしても他国から持ってこざるをえなく、高度な製造はできません。

 

その点で、人件費は高いもののサプライチェーンが構築されているタイは、製造拠点としては最も効率的な場所であり、かつ、消費市場としての価値も高く、まさに地産地消のできる土壌があります。 労働コストの高さを機械化で賄うことで、「タイで製造・販売しながら、近隣諸国へ販売する」といった、本国(日本)を気にしない戦略を持ち得た経営者が増えているのもトレンドですね。つまり、労働コストの安いタイへの進出ではなく、将来のマーケットを見据えてタイに拠点を設置するという考えです。例えば、タイをハブと捉え、激戦区タイで勝ち抜いたモデルを他国で実践するという動きです。昔は日本モデルをタイに持ってきていましたが、現在はタイで成功モデルを作り、他国へ展開するという狙いです。それだけタイの市場価値が高く、日本同様の目線で仕掛けないとば勝てない時代になったということです。

 

やりがいは尽きませんね
当金庫では、中小企業の経営支援総合金融サービス事業をメインとしています。金融支援のみならず、様々な課題を解決するお手伝いから、企業が描く将来的なビジョンを打ち立てやすいような情報提供など、多岐に渡ります。中でも、海外支援は重点分野と位置付け、全力で取り組んでいます。

 

海外畑と聞きました
93年の入庫後、JETROへの出向を入れてタイは通算4カ国目です。日本時代は大阪支店での飛び込み営業で、リアルな半沢直樹(銀行をモチーフにした小説及びテレビドラマ)を経験するなど、若い時分に経験を積ませていただきました。98年には、前年に起こった通貨危機後のマレーシアに駐在。その後、香港でMBAを取得し、前述したBOIに出向、現在に至ります。海外は通算9年です。

 

長期休みの際は、妻と旅行に行くことが多いですね。亡くなった叔母がギリシャに住んでいたこともあり、初めての海外旅行から長年同国を訪れる機会が多く、ホームタウン的な場所です。海外でなんとかできているのは、ギリシャで過ごした経験が生かされているかもしれません。

 

「日本から再び戻り、BOI時代から支えてくれているスタッフに迎えられたときは、本当に嬉しかったですね」

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