タイ証券取引所(SET)

タイ証券取引所が果たすべき役目とは?

プレジデント ケサラー・ウタイサン・マンシュスリー

《プロフィール》 タイ証券取引所(SET)プレジデント。タマサート大学・経済学部卒業、米国サンフランシスコ・ゴールデンゲート大学院 金融科学修士卒業。
 

ASEAN証券取引所構想に向け SETが果たすべき役目とは?

—タイ証券取引所(以下SET)の役割を教えてください
アジア地域の中でも長い歴史を持つ、タイ国内で唯一の証券取引所です。タイにおける資本市場の歴史は、1960年代の初頭にまでさかのぼります。62年、民間団体により、バンコク証券取引所が設立され、74年にタイ国証券取引所 (Securities Exchange of Thailand) へと組織変更し、75年4月正式に始まりました。91年には、タイ国証券取引市場 (Stock Exchange of Thailand) へと名称を変更し、現在に至っています。 92年の証券及び証券市場法に基づき、証券取引と外国為替に関する管理監督の責任を担っており、タイ国の資本市場の改革を進めるのが目的です。タイ国証券取引市場は第1部がSET、第2部が MAIに分かれています。2014年の年末時点で、タイ国証券取引所のSETの上場企業数は502社で、MAIの上場企業数は111社となっています。

—ASEAN証券取引所の展望については
ASEAN証券市場統合といっても単一市場に統合するのではなく、市場ルール・規制の統一化や連携などを進めます。より多くの投資家に機会を提供、取引所相互の流動性を向上させるのが狙いです。全部で6つの国、7つのグループから構成されています。ベトナムが、ホーチーミン証券取引所とハノイ証券取引所に分かれているため、2つの証券取引所が加わっています。 15年3月時点で中心的な運営を行っている国は、タイ、マレーシア、シンガポールで、その他の国は状況を見守っている状態です。各国から大手企業の代表として30社が参加しています。問題点はそれぞれの投資の規模、事業運営の規模が異なっているため、30社のバランスが取れていないことが課題ですね。SETでもウェブサイト上にASEAN証券取引所を掲載しています。

—SETの競争相手となる国は
ASEAN諸国のそれぞれすべての国が、異なるやり方で、成功を収めていると見ています。なので、あらゆる国が協力し合うことが可能でしょう。SETでの1日の平均売買高は16億米ドルを超えました。この数字はASEAN証券取引所内でも上位となります。過去3年間、SETの売買高は、徐々に上昇していて、さらにIPO市場も活発化しています。

—SET内のセクターについて教えてください
金融セクターでは基礎的条件も良く、好循環で回っています。利益幅は少ないものの、安全で信頼できるセクターになりました。エネルギーセクターでは、巨大な企業が多く、売上・利益は多いのですが、14年末に石油価格の下落により株価が下落するということもありました。不動産セクター、サービスにおけるセクターも同じく若くして成長した企業が多く、今後も成長が望まれ、投資性があります。潜在的に可能性が高いのが、サービスセクター内の病院セクターです。

—今後10年のSETの目標は
SETは、永続的な成長を望んでいます。証券取引所としては、さらなる成長を続け、新しい会社の上場を受け入れ、上場メンバー、投資に関する相談件数、投資金額、外国人投資家を増やすことが大切です。14年末時点で、SETには、約100万件の証券口座があります。オンライン取引等での同証券取引所への高い需要に対し、十分な供給を行う用意は準備できていて、国際的水準のシステムと通信設備が備わっております。 15年度は、東京でSETにおける機関投資家向け説明会を実施する計画です。今後も日本人投資家に対して、タイ国内での投資を勧める案件・提案を行っていきたいと考えています。それは日本の友人を歓迎することと同じですから。

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