モラルが問われる動物虐待問題

2014年から法律が施行されても事件は年間100件発生
バンコクでは飼い犬にマイクロチップを埋め込んで管理

 

タイでは動物に対する虐待事件が問題となっている。2014年12月26日に施行された動物虐待防止法及び動物愛護法の違反件数は年間約100件。今年に入っても事件は頻繁に起きている。
4月8日、タイ国家警察所属のワサワット少佐が自宅マンションの近所で他人が飼っている2匹の犬に発砲。1匹は重傷、もう1匹は死亡した。動機は妊婦の妻に噛み付こうとしたためとしているが、現場に同席していた人物によると「ただ吠えただけ」との証言もある。さらに4月13日には、バンコクのラムカムヘン通りにあるカオマンガイ屋の店主が近隣の住民が飼っている犬を鉄の棒で撲殺。自身の息子を噛んだのが理由だという。
現行の動物虐待防止法は懲役2年未満あるいは4万バーツ未満の罰金、または両方が裁判官の裁量で適用される。ただ、同法律が施行されて以来、現状でもっとも重い刑は懲役6ヵ月。なお、動物愛護法に至ってはいまだに判例がない。
世間の反応もさまざまで、動物愛好家たちは「動物虐待は大罪だ」と最高刑を求める一方、「飼い主に対する動物管理を定めた具体的な法律も検討すべきだ」という意見もある。ちなみにバンコクで確認されている犬の総数は約80万匹。そのうち野犬が約12万匹で、飼い犬が約60万匹、ほかに飼い主がいないものの、地域住民たちと共存している犬が約7〜8万匹いる。なお、バンコクでは野犬に噛まれた場合、バンコク首都圏庁に対して損害賠償を請求できる。また、地域住民と共存している犬は同庁に登録されており、繁殖を抑えるための去勢手術や狂犬病予防注射なども行われている。さらに、同庁では飼い犬から野犬になる数を抑えるため、飼い主に対する規則を2006年から施行。飼い主が犬を捨てる問題を解決するために飼い犬にマイクロチップを埋め込んで管理している。この行為自体が動物虐待ではないかと感じてしまうほど、動物への愛護の意識がまだまだ低いのが現状だ。
タイでは都市部を中心にペットを友人や家族のように大切に飼う人が増えたが、モラルを問われる事件が減らないのもまた事実。今後は動物虐待や愛護に関する法律の細分化や厳罰化が検討されていくかもしれない。

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