新たばこ税で波紋

喫煙者減と歳入増を目論むも、思わぬ誤算

 


弊誌でも9月に取り上げた、新物品税(新間接税)。施行当時、財務省物品税局のソムチャーイ局長は「新税により、国民の飲酒や喫煙の機会を減らし、健康志向を促します。同時に歳入増が期待できる、現代に即した税法だ」と鼻息荒く説明していたが、“たばこ税”に関しては目論見が外れたようだ。

新税制により、たばこは店頭価格(1パッケージ60バーツ以下なら20%、同61バーツ以上は40%)への課税と、たばこ1本あたり1.2バーツの税が加わった。

これを受けて、タイたばこ公社は自社製品(国産)の一部を除き、概ね1パッケージあたり約100バーツの値上げに踏み切った。ところが、逆に民間の輸入たばこ販売会社らは、こぞって輸入たばこの価格を約60バーツに下げる戦略に打って出た。

この結果、新税制導入から約1カ月でたばこの市場シェアが激変。これまで80%を占めていた同公社(国産たばこ)が65.9%に縮小する一方で、輸入たばこは20%から32.5%へと大きく拡大した。蓋を開けてみれば、喫煙者の減少はおろか、国の歳入となる公社の売上が下がるという、本末転倒の結果を招いてしまった。

公社のダウノイ総裁は、「このままでは生産量が大幅に減り、来年の売上予測も100億バーツ以上縮小せざるを得ない。そうなれば、自ずと国内の葉たばこ農家にも影響を及ぼすだろう」と指摘。政府に対し、是正処置と税制改正を要望した。

これに対し、物品税局のギッサダー現局長は「法律は施行されたばかりで、他の多くの物品に関わる。簡単に変えることは難しいだろう」とコメント。値下げに踏み切った民間企業らも、「値下げはビジネス的な戦略であり、不当ではない」と正当性を主張する。

今後も、タイのたばこ市場(約800億バーツ)を巡る攻防は続きそうだ。ただ、世界の潮流は“禁煙”なだけに、遅かれ早かれ愛煙家が耐え忍ぶ社会へと進む道筋は、変わらないだろう。

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