出演しない女優は価値がない?

カンヌ映画祭でタイ人女優をもてはやすマスコミ
ノミネート作品に出ていない彼女に冷めた評論家も

 

フランス・カンヌで2つの国際イベントが行われ、2人のタイ女優が参加して話題となった。「マイ」ことダウィカー・ホーネーさんは、欧州のアイスクリーム「マグナム」のタイ代理店ブランドアンバサダーとして、12日に開催された「マグナム・ローバル・イベント」に参加した。「ションプー」ことアラヤー・アルバータ・ハーゲットさんは、 「カンヌ国際映画祭」に化粧品「ロレアル・パリ」の同じくアンバサダーとして現れた。
特にションプーさんは4年連続の参加で、毎年注目を浴びている。レッドカーペットを歩く写真は、連日タイの芸能ニュースサイトに掲載。世界的有名デザイナーによるドレスの着こなしは、参加者や外国の記者にも注目された。ポーランドの有名紙「Metrocafe.pl」は、ションプーさんがカンヌ国際映画祭の初日に着用したピンクのドレスの写真を表紙に。ニュースサイト「Huff Post」のカナダ版は「ハリウッド女優を圧倒するくらい美しく、目立っていた」と伝えている。ちなみに、今年の映画祭でタイの作品は旧作が上映されたが、コンペにノミネートすらされていない。
同映画祭を15年以上取材している、タイの有名な映画評論家のゴン・リットディーさんは、ションプーさんについて自身のフェイスブックに「映画とは関係ない、ブランドアンバサダーとしてのションプーさんの参加はたいしたことではない。レッドカーペットを歩く人は1日1000人以上いる」と釘を刺した。さらに「タイ人記者は『クイーン・オブ・カンヌ』と報じたが、大げさすぎる。タイ映画がコンペにノミネートされた、もしくは上映されたといった、本当に大事なことはあまり取り上げない。『クイーン・オブ・カンヌ』は、ノミネート作品の出演者として現れた女優への称賛として用いるべき」と自国の記者を痛烈に批判した。
同氏はカンヌ映画祭について「サッカーW杯に例えると、出場するのと、ただ観戦するのとでは違う」と表現。会場に行くことではなく、ノミネート作品に出演してこそ女優として価値があるという同氏の正論を、マスコミは肝に銘じるべきだろう。

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