猛威を振るった小型台風

豪雨が残した爪痕は死者7人、災害被害額10億バーツ

 


日本列島と同じく、7月はタイも台風到来のシーズンに入る。同月中旬から「タラス」と名付けられた台風が、北部から東北部にかけ豪雨による洪水をもたらしたのも束の間、気象庁は次なる台風「ソンカー」が24〜28日にかけて同地域に到来すると予報。ただし、タラスより小型で威力も弱いとした。

ところが、そのソンカーが猛威を振るう。水位1mに及ぶ洪水を引き起こし、住民たちは高所への避難を余儀なくされた。住民が「40年ぶりの大災害」と語ったシーサケート県では1.5mの水位を記録したが、この台風で最も打撃を受けたのはサコンナコーン県。28日に同台風が熱帯低気圧に変わった後も雨は降り止まず、あふれた水の最高水位は2mに達した。道路は冠水し、空港も31日まで閉鎖。同県のフアイサーイカミンダムは、貯水容量を上回る降雨量を受け止めきれず、約100万㎥の水が住宅や農地に流れ7人の死者を出すに至った。

農業協同組合のチャッチャイ大臣は、現場で被害状況を視察。同県7つの郡、389の町村が被害を受けたことを確認した。農地については95万4904ライ(1ライ=1600㎡)、畜産業は43万7185頭の水牛や牛が被害を受けたという。保険協会のチーラパン会長は、この洪水被害で保障額が10億バーツに上るという予想を発表。車両に対し2億5,000、建物に2〜5億、農地に4億2,840万バーツという詳細も明らかにしている。プラユット首相も8月2日に現地入りし、復興の進捗を確認。水が引いた地域の清掃にも参加した。

大災害に至った原因を、国家災害警報センターのサミット元センター長は「台風の数日に渡る停滞と、同県のすり鉢状の地形が大きな要因。今後も9月までは警戒が必要。2011年のような事態にはならないと思うが、留意して欲しい」というコメントで締めくくった。人命や産業に影響を及ぼす大規模災害が起こるのは、日本も同じ。一日も早い被災地の復興を祈るばかりだ。

 

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