“ミィ” 泰のビジネスを学ぶ BNK48大久保美織の挑戦【第30回】

長谷場:これまで2000年代前半までのBOIの政策の説明を進めてきました。今回はBOIから離れて、タイの経済や歴史の流れを理解する上で避けて通れない2006年9月に発生したクーデターを説明しますね。

ミィ:インラック首相のお兄さん、タクシン元首相の話ですよね。

長谷場:はい。タクシンさんは警察官僚でしたが、ビジネスで成功し1994年から政治家に転身します。98年にはタイ愛国党(タイ・ラック・タイ)を設立し、2001年1月に行われた下院選挙で500議席中248議席を獲得し首相になりました。
そしてタイの民間人から選挙で選ばれた首相としては初めて4年間の任期を全うし、2005年2月に行われた下院総選挙で377議席という約4分の3の議席を獲得し首相を続けます。

ミィ:わー圧勝!

長谷場:圧倒的です。実は首相の不信任案を出すことができる条件が「200人以上の下院議員の賛同」とされていたので、野党はそれすら出すことができない状況でした。
そのタクシン政権の経済政策が①(タクシン政権以前から行われてきた外国企業の誘致における輸出振興、②タイ国内の内需を振興(タイ国内でモノを買ってもらう)するという両面で経済を活性化させようというデュアル・トラック(Dual Track)政策です。

ミィ:2つを並行して進めるからDual政策なんですね。

長谷場:はい。そうです。①はこれまで勉強してきました。②についてはいろいろありますが、例えば、各村にお金を配る村落基金(8000ある村落ごとに100万Bを提供し、村落の自立的発展を促す)、農民の借金の利息を国が負担することにより3年間元本と利息の支払いを猶予するという負担軽減措置、中小企業支援のための銀行(SMEバンク)の設立、30バーツで誰もが医療を受けられる医療制度といった非常に国民にとってウケのいい政策でしたが、一方でバラマキとの批判もありました。

ミィ:おー! なるほどですねー、アイドルとしてとても勉強になります、メモメモっと。

長谷場:コラコラ、今は経済の勉強。さて、ミィさんはデパートや空港でOTOPというマークの付いたお店があるのを見たことがありますか?

ミィ:地方の特産品を売ってますよね。可愛い雑貨を買っています。

長谷場:実はこれは大分県の一村一品運動(One Village One Product)をモデルとしてタクシン政権が2001年に始めたものです。タイではタムボンという村より少し大きい行政単位ごとに商品を作り販売していこう、というものです。OTOPとはOne Tambon One Productの頭文字をとったものなんですよ。

ミィ:へぇ。大分を参考にしたプロジェクトだったんですね。

長谷場:さて、この安定多数の議席を下院で獲得していたタクシン首相ですが一族や閣僚への利益誘導が問題となって、05年から反政権市民集会が開かれるようになります。しかし一時は8万人以上を動員した集会が、2005年12月の集会では1万人程度まで減少し、終わりに近づいているかに見えました。ところが…。続きは次週。

ミィ:えー、気になる―!!

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