疑問視される電子決済

詐欺にウイルス……脆弱なシステムで奪われる現金。推し進める政策に黄色信号が点灯

 

銀行システムの脆弱さが露呈する事件が相次ぎ、7月に発表したばかりの銀行支払いサービス“Promptpay”(プロンプトペイ)を疑問視する声が続出しているという。
先日、アユタヤ県の自動車部品販売店のオーナーが、言葉巧みに個人情報を奪われ、口座番号を変更させられた上、100万バーツを騙し取られる事件が発生。本人確認を怠った銀行側にも落ち度があるとし、銀行はオーナーに対し、全額返金した。また、23日には、政府系貯蓄銀行の現金自動預払機(ATM)21台がマルウエアに感染し、約1200万バーツが不正に引き出された。政府系機関ということもあり、国民の間で不安感が高まっている。
一連の事件で、とばっちりを受けたのが、政府の肝いりで7月に発表されたばかりの、ID番号や携帯電話番号を使用してトランザクション・バンキングを行える新たな銀行支払いサービス、Promptpay(プロンプトペイ)。これは、政府が進める電子決済システム「ナショナルeペイメント」の一環で、同サービスを使えば、銀行間の送金手数料が5000バーツ未満まで無料、10万バーツ以上であっても10バーツ以下と極めて低い手数料で済み、税金還付(納付)も可能。将来的には、政府から受け取る各種手当ても同サービスを通じて支払われる。相手先の電話番号登録で利用できる簡便さがウリのため、政府も一気に普及するだろうと皮算用していたに違いない。
ところが相次ぐ銀行系トラブルで、国民からは、「本当に大丈夫か?」「画期的だが、先進国でも使われていない」といったシステムや制度(サービス)そのものへの不信感が強まっている。政府にとって、新サービス(電子化)は徴税効率化や手続きコスト(人件費)削減のほか、金の流れから脱税といった不正を暴くチャンスにつながる。とはいえ、銀行の信頼失墜で、利用者からは不安の声ばかり。挙句に、ATMを利用した際に出てくるプロンプトペイの申込画面が、「わかりづらい」「タイ語のみなので外国人が困る」といった新たな火種(不信感)を生んでいる。
プロンプトペイを含むタイの電子決済サービスの開始は10月31日。果たして、それまでに国民からの信頼は回復できるだろうか。

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