ミャンマー人の半数がオーナー?

真面目に資金を貯め、市場で一国一城の主も不法労働という現実

 

「ミャンマー人の多くが、資金を貯めてタイの市場で出店しているんです」。こう話すのは、バンコク都内でも有名な生鮮市場「タラート・バンケー」で長年、店を経営するタイ人オーナー。今では、同市場の約3割が、ミャンマー人が営む店だという。
一見、ミャンマー人が異国の地(タイ)で頑張っているという美談に聞こえるが、タイの法律(外国人労働法)上、外国人が市場で店を出すことは禁止されている。なかには、タイ人名義でスペースを借り、実際はミャンマー人が運営する違法のケースもある。タイで市場を運営するタイ人は「こうしたケース(又貸し)を取り締まることは難しい」という。
今年8月、国家経済社会開発委員会はこうした事情を背景に、バンコクと外国人労働者の多い県で実態を調査。それによると、調査対象となった市場の出店数(8497店)のうち、外国人オーナー率は約1・8%(149店)だった。そのうち、約半数(44・5%)のオーナーがミャンマー人で、次いでカンボジア人21・4%、ラオス人19・8%と続いた。しかし、そうした外国人オーナーの半数以上は無借金経営で貯蓄も潤沢という、ある意味、健全な経営者だ。
とはいえ、法的にはNGであり、市場を運営する側も、見て見ぬふりをしているケースが後を絶たない。これでは本末転倒。タイ政府は法律により外国人の労働職種を制限することで国民の食い扶持を守ってきた。ところが、今年5月に行われた労働省職業斡旋局の一斉摘発では、「役人から賄賂を支払った証(通称:賄賂ステッカー)をもらっている」と訴える外国人が現れ、移民労働者たちの実態が明るみに出てしまった。
いずれにせよ、同委員会の発表で担当する労働省は面目丸つぶれ。早速、同省広報官は「タイ全土で禁止職種に就く外国人の一斉摘発を行い、2017年内に入国管理局と協力して不法入国及び不法就労に対する厳しい規制を設ける」と発表した。
できれば、正式な手続きを踏んでいる外国人とは分けてほしいもので、労働許可証の取得に影響が及ぶのだけはかんべん願いたい。

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