タイを拠点に労働集約型業務を隣国へ分業する“タイ+1”。中でも、割安な人件費と手付かずの消費市場で注目されるのが、カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)だ。週刊ワイズでは昨年、物流の大動脈である東西、南部、東部経済回廊3500kmを紹介。今年は、CLMの経済特区と消費市場の今を、現地徹底取材した。

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CLMは比較対象ではない 煽るメディアと一線を画す

タイ+1(タイプラスワン)が本格的に動き出している。引き金は、ご存知の通り2015年末に発足したASEAN経済共同体(AEC)だ。域内人口は欧州連合(EU)を上回る約6億人、域内総生産約2兆ドル強に達する巨大経済圏が誕生した。そして、一大産業集積地と化したタイの目下の悩みは、一昔前の中国と同様、国内の人件費が高騰し、「安い労働力」を武器にしたビジネスモデルがもはや通用しなくなりつつあること。生産現場では、ここ数年CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)と呼ばれる労働力のさらに安価な国からの出稼ぎ組に頼ってきたが、AECの発足で、自国の労働環境が急速に整い、彼らが一斉に母国へ戻ってしまうことが予想される。


一方で、急進を控えるこの地域の経済を支えるのが、1にも2にも「物流」だ。昨年、タイを中心とする陸ASEAN(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)域内を繋ぐ経済の大動脈「ASEAN経済回廊(約3500km)」を取材したが、域内インフラ整備は目を見張るばかり。経済分野では「ボーダーレス」一歩手前、という皮膚感覚が実情だろう。 そこで、次に企業が取り組みを急ぐのが労働集約型の工程をタイから隣国へ移行することだ。いわゆる水平分業だが、今回訪れたタイと隣接するCLMはまさにその典型だった。


CLMでは、タイ+1の受け皿を目指し、法人税の免除、所得税の減税、法的手続きの緩和などの“恩典”をエサにした経済特区(SEZ)を開発。製造業の多くは、そうした各国SEZを視察し、比較することで今後の戦略を練っている最中ではないだろうか。だが現地取材を敢行する中、 CLMは比較対象ではないことがわかった。さらに、その国は生産拠点なのか、あるいは消費市場として、どれだけのポテンシャルを秘めているかが明らかになってきた。

例えば、ラオス南部には、東西経済回廊と同等の道路整備がなされ、なおかつ「パクセー・ジャパン日系中小企業専用経済特区(SEZ)」という、日本の中小企業のみを求める政府公認のSEZがある。知名度の高いミャンマー・ティラワSEZは、自動車メーカーを頂点とするサプライヤー企業群には属さない企業の進出が目立っているし、マーケット価値についても現状を知ることができた。百聞は一見に如かず。タイ+1の指標となる現地レポートをお伝えする。

 

道路と港湾が要

注目のCLM経済特区はここだ!

タイと隣接するカンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)間における輸出入の拡大が予測される中、タイ国内の賃金上昇を要因とする、隣接国への労働集約型工程の移管が進む。まずは地図上から、移管先(経済特区)の優位性を検討してほしい。

タイ+CLMの連結性が強まる理由

  1. ASEAN経済共同体(AEC)域内の関税撤廃と通関手続きの簡素化
  2. かつては“無路”と言われた東西経済回廊をはじめとした幹線道路(物流網)の改善
  3. CLMの低廉な人件費と水道、電力などの割安なインフラ

日本政府の支援による第2タイ・ラオス友好橋(タイ・ムクダハン〜ラオス・サワンナケート)、及び新バイパス(ミャンマー・ミャワディ〜コーカレイ)の完成により、ミャンマー〜タイ〜ラオス〜ベトナムを貫く回廊となった。

日本政府の支援によるつばさ橋(カンボジア国内メコン川)の完成で、タイ・バンコク〜カンボジア〜ベトナム(ホーチミン)が開通した。

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