代理出産と謎の日本人男性

代理出産と謎の日本人男性

9人の子どもの父親は同一人物。未だ払拭できないタイの人身売買問題

景気後押しのための労働力確保が人身売買ではないかと批判されていたタイに、違う側面から再び人身売買の問題が浮上した。日本でも連日大きく報道されている「代理出産の問題」である。

発端は、オーストラリア人がタイで代理出産を依頼し、生まれた子どもがダウン症であるため、引き取りを拒否した一件。そのわずか数日後、「コンドミニアムで子ども9人保護。父親は日本人で同一人物の可能性」といった、いかにもワイドショーを喜ばせるような見出しが、タイのみならず日本にも波及した。

渦中の日本人男性(24)は、70億円超の資産を有する御曹司とされ、タイで少なくとも15人以上の代理出産による子どもをもうけたと報道されている。「タイ、代理出産」とインターネットで検索すれば、詳細は連日更新されているので、興味ある方はそちらをご覧いただきたい。

ちなみにタイでは、代理出産自体は非合法ではなく、しかるべき手順を踏めば問題はない。しかし、今回のケースは「なぜこんなにも多く(20人といった情報も)の子どもが必要なのか?」「なぜ欧米人の子どもがいたのか?(日本人ではなく、なぜ欧米人の卵子を使ったのか?)」といった不可解な状況から警察が調査に乗り出した。保護された9人の子どもたちをDNA鑑定すると、父親は全員同一人物だと判明し、バンコク時事の報道によれば、前出の男性は「100〜1000人の子どもをもうける予定」と仲介者に話していたというから、謎は深まるばかり。

世間の反響を重くみた国家平和秩序維持評議会は、14日に代理出産を行った病院を告発し、代理出産を規制する法案を立法議会に提出するという。営利目的の代理出産の禁止、代理出産広告の掲載禁止などといった規定を盛り込む。

タイ警察は邦人男性から事情を聞くために出頭を要請しているものの、15日時点で進展はない。各国の人身売買への取り組みを格付けした評価で、最低ランクを指定されたばかりのタイにとっては、まさに泣きっ面に蜂。政治も含め、国際評価も厳しい立場に置かれている今こそ、早期の解決が望まれる。

【写真上】8日、タイ警察と保健省の職員が代理出産手術を行った「All IVFクリニック」を訪れたが、オーナーは不在だった。(マティション)

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