サンクラブリーの孤児を支援 “生きる力”を育む「虹の学校」

バンコクから北西へ車で約8時間。国籍なき子どもたちのため、
カンチャナブリー県サンクラブリーで小学校と孤児院として開校した
「虹の学校」。10年目を迎える今年、代表を務める片岡さんの新たな挑戦とは。

ミャンマーとの国境沿いに位置するサンクラブリーは、人口の大部分が少数民族。国籍がなく学校に通えない、社会的な居場所がない人たちも多く暮らしています。遡ること11年前。バンコクで日本語教師として働いていた片岡さんは、学校へ通うことが許されない子どもたちのための学び場をつくるという「NPO法人 虹の種」の活動に共感し、協力したいと手を挙げました。

「日本語教師という高校時代の夢を追い駆けてタイに来たんですが、なかなか自分自身で納得する仕事ができなくて。そんな中、学校立ち上げの話を聞いて、私も人のため、社会のために貢献したいと思ったんです」。

こうして、2009年6月に開校した「虹の学校」。子どもたちと対面した片岡さんは、“学びへの飢え”を感じたと当時を振り返ります。少し言葉を教えただけで「もっと教えて。もっとやりたい」と大盛り上がり。そんな子どもたちに向けて取り入れたのは、一般的なカリキュラムではなく、体操や音楽を取り入れながら自由な発想を促す“ヨコミネ式”。

加えて、“自然の中で生きる力を育むこと”を掲げ、子どもたちの能力を引き出す独自のスタイルを築いていきました。「薪を使ってお湯を沸かす。田んぼでお米を育てる。そんな自然の中での営みによって、生きる力が育まれると考えています。子どもたちには自分で考え、自分で答えを導き出せる人になってほしいですね」。

立ち退きから再挑戦。
“もっといい学校にしよう!”

試行錯誤しながら歩んできた虹の学校は今、大きな転換期を迎えています。

片岡さんは今年4月、学校の土地所有者から立ち退き通告を受けました。
「ここ数年、転居の可能性があると聞いてはいたんですが、ついに……という感じでした。転居先がすぐに見つかるわけもなく、近隣のお寺にお世話になるしかないという時に、学校の隣でゴム農園を営む方が土地を貸してくれ、今は仮住まいさせてもらっています。本当にありがたいです」と感謝を口にします。

それにしても、竹や藁を使ってゼロから自分たちで建てた校舎や居住施設。ようやく環境が整った時期の“リセット”。そのショックは計り知れません。けれど片岡さんはそんな素振りを見せず、宣言します。「私たちには、この9年間で培って来た基盤があります。そして子どもたちや近隣の村人たち、私たちの活動を知って国内外問わず支援してくれる人たちがいます。建物が失くなっても、ゼロに戻ることありません。応援してくれる人たちがいる限り、きっと大丈夫です」。

現在は30名の子どもたちと共に、転居先で気持ち新たに今後の方針を模索中。2013年から、子どもたちの学力を社会的に認めてもらうため、また正式な学校認定取得のため、タイのカリキュラムを導入した片岡さんでしたが、そこには多くの葛藤があったのだそう。

「カリキュラムでは子どもたちの“やりたい気持ち”を尊重できない場面に多々遭遇し、やっぱり私は強制するのではなく、自由にのびのびと成長させてあげたいと改めて感じました。暗記するだけの学習ではなく、自分で未来を創る力を育てられるよう、子どもたちと話し合いながら新しい方法を探していきます」。

子どもたちの未来に向け、片岡さんは6月4日からクラウドファンディングを始めます。まずは、新たな学びの場を造る。そこから、「虹の学校」の第二章が始まります。


転居前の学校にて、ミュージカル「虹の戦士」を披露した子どもたち


PROFILE
片岡 朋子
Tomoko Kataoka
1976年、栃木生まれ。日本で会社員として勤務し、2006年に日本語教師として来タイ。2010年から虹の学校・校長に就任。現在、旦那と子ども2人と共にサンクラブリーで生活。タイの好きなところは、みんなが家族のように親しみをもって接するところ(「ノーン」「ピー」など)。お気に入りの場所はスコータイ遺跡。


虹の学校
新しい学校づくりのため
6/4〜クラウドファンディング開始

クラウドファンディングを通じて新天地の土地と建設費を募ります。良き学び場づくりに、ご理解ご協力を宜しくお願い致します。詳細は下記よりご覧ください。
https://readyfor.jp/projects/rainbowschool

[問い合わせ]
Telephone:084-536-4469
Address:カンチャナブリー県サンクラブリー
Facebook:ja-jp.facebook.com/rainbowfairlife/
Website:www.tane-kochi.com


編集部より
今回の取材が実現したのは、虹の学校の活動をバンコクで発信するボランティア団体「ヤマトナデシコ in Thailand」さんのおかげ。約6年前から同校で取り組む布草履の製作・販売などに協力し、繋がりを広げています(山形)

取材・文 山形 美郷


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