元Jリーガーがシラチャで奮起
サッカースクール×選手支援


プロ選手としてセレッソ大阪を主軸に現役生活を送った多田さんは、
シラチャに開設した「Cilie Sports Club」で第2の人生をスタート。
かねてから思い描いてきた、プロを目指す選手のサポートとは。

 

2012年。タイのあるチームにプロ契約の誘いを受け、「シーズンが終わったら向かう」と約束を交わした多田さん。しかし現地を訪れた時、多田さんの契約枠は他の選手で埋まっていました。

「何の連絡もなく他の選手と契約していたので驚きましたし、その後は他のチームを紹介され、たらい回しのような状態で……タイの洗礼を受けましたね」。

2カ月ほど経ってもチームが決まらずに悩んでいた頃、知人から子ども向けのサッカークリニックに誘われます。

「現役プロ選手として現れた僕を見て、子どもたちの目がキラキラと輝くのを感じました。自分ができることを見つけた気がしました」。長く構想を練ってきたプロを目指す選手へのサポートと同時に、子どもたちとプロ選手が交流できる場を提供する—-多田さんの新たな人生の扉が開いた瞬間でした。

その後すぐに日本へ帰国し、指導者としての勉強を開始。2014年2月に選手兼指導者としてプロチーム「シラチャFC」へ合流し、並行してサッカースクール設立のための準備を進めていきます。そして、同年6月に子どもから大人までを対象とする「Cilie Sports Club(以下Cilie)」を開設。翌年、引退した後はCilieを本格的に始動させ、プロを目指す選手たちのサポートを実現していくのでした。

サポートの最終形は、
プロサッカーチームをつくること

「タイでチームが決まらなかった時期、宿泊費や食費の捻出、トレーニングができる環境がないことによるストレスをとても感じていました。もしタイでプロを目指すアマチュア選手がいるなら、サッカーに集中できる環境を提供し、少しでもストレスをなくしたいと思ったんです」。

自身の経験を踏まえ、現在Cilieに所属する選手には、住む場所と食事をサポート。また、クラブ施設の空き時間には練習ができる場を提供しています。時にタイの文化や環境に慣れず、契約が決まらない選手には、「ここはタイで、僕たちは外国人。サッカーをしたいんだったら、今の環境を受け入れてやるしかない。評価はするものではなく、されるものだから」と、プロの世界の厳しさを伝えることも。

そうして、これまでに5人のプロ選手を送り出してきました。一方で、子どもたちにプロを目指す選手や現役プロ選手とのサッカー体験をプレゼントするために、所属選手には時間がある時にスクールを手伝ってもらっています。 「セレクションがある日は、もちろんそっち優先です。子どもたちは『頑張って!』と元気いっぱいに選手を送り出します。僕は『困ったら戻ってくればいいから』と伝えるだけ」。

昨年10月には、タイ人を主体としたCilieの社会人チームを結成。週2回、平日夜に集まって練習を続けています。これは、プロチームの運営を見据える多田さんの挑戦でもありました。

「今年のチーム目標は、日本でいう天皇杯と同じ立ち位置である『FAカップ』出場に決めました。自分たちがどのレベルで、どの位置にいるのかを理解し、トップチームとの差を知りながら、ひとつずつチームで階段を上っていければ。まずは、地道に足場を固めていきます」。

シラチャには今、プロチームがありません。多田さんは、“応援したい”と思ってもらえるチームを目指しながら、スポーツを通してシラチャの街全体を盛り上げたいと宣言。さまざまな形を模索しながら、理想のゴールに向けて邁進します。

貧しい子どもたちにボールを届ける「Thanksgiving」 の支援活動も実施中 

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PROFILE
多田 大介 Daisuke Tada
1982年、岡山生まれ。2001年、東海大学付属第五高校を卒業し、セレッソ大阪に入団。08年、愛媛FC〜セレッソ大阪〜大宮アルディージャ〜鳥取SC〜FC岐阜〜セレッソ大阪に渡る。14年、選手兼指導者としてシラチャFCに入団、15年に引退。「Cilie Sports Club」代表。指導者ライセンス保持。タイ人の奥さんと生後4カ月の娘をもつ。

 


Cilie Sports Club

年少から社会人まで会員募集中!

サッカー、バドミントン、ゴルフ他、シラチャでスポーツをするならCilieで! 詳しくはWEBをご確認ください。
[問い合わせ]
Tel: 094-310-0724
Website: www.cilie-sports.com


編集部より
「経営者として3年目。悩まない日はありません。日々勉強ですね」と取材中に話してくれた多田さんでしたが、冷静に現状を見つめ、前進していく姿に経営者としての覚悟を感じました。いちサポーターとして今後も応援します!(山形)

取材・文 山形 美郷


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