“みんなに笑顔で帰ってほしい”
整体師 兼 シングルマザー


2015年4月に来タイし、日本式の丁寧な整体・マッサージが好評の
「ベアハグ」バンコク店を率いるのは、6歳の娘を持つシングルマザーの小田桐さん。
女手ひとつ、異国で子育て奮闘中。底抜けに明るい彼女の原点を尋ねました。

 

「不安よりも、行けばなんとかなると思っていました」。当時の心境を、そう振り返る小田桐さん。ベアハグ海外初店舗のマネージャーに自ら手を挙げ、当時4歳だった娘の音ちゃんとタイへやってきました。

「来てから知ったことなんですが、タイは職場に子どもを連れて行くことが日本よりはるかに寛容です。子育てしながら働きたい女性にとって、タイは最高の環境です。スタッフがご飯を食べさせてくれたり一緒に遊んでくれたり……本当にありがたい。周りに育ててもらっている感じです」と、感謝の言葉が突いて出ます。

小田桐さんの一日は、音ちゃんとのハグから始まります。なかなか一緒にいる時間がとれないからこそ、体温を通して音ちゃんへの愛情を示しているのだそう。

「父親がいない分、“何とかしないと”と力んでいた時期があったんです。そんな時に読んだ本に、『何もしなくていいんだよ、ただ抱きしめてあげれば』という言葉が書いてあって、救われました。毎朝5分ほど、ぎゅーっと抱きしめています」。

小田桐さん自身も、幼少期に両親が離婚。時に寂しい思いをすることもあったと言いますが、それを上回る愛情をもらったと笑います。「母親は忙しく働きながらも私のお弁当を作ったり、親戚は大学への資金を工面してくれたり……」と、ふいに目を潤ませる小田桐さん。周りからの愛情をたくさんもらってきたからこそ、自分自身も周りに愛情を与えたい。いつしかそんな想いが芽生え、それが、ベアハグの理念と重なっていくのでした。

空いた時間があったら
10分でも休んでいってください

“天職”だと話す現在の仕事に就いて、早14年。入社のきっかけは、小学3年生の頃から続け、4段の腕前を持つ剣道でした。「社内に剣道部を作るくらい、ベアハグの会長も剣道が大好きで。それがきっかけでベアハグを知りました。『すべての人に愛情を持って接する』という理念に強く共感したんです」。

お客さんには、とにかく笑顔で帰ってほしい。そんな想いを、小田桐さんは自身の手に込めます。道具を一切使わず、自分の手だけで多くの人を笑顔にできる職業に、誇りと愛情を抱きながら。

「施術中は、目の前のお客さんのことだけを考えています。それが身体にも伝わると思うし、だからこそ気づける身体の状態やツボがあると思うので、タイ人スタッフにもその想いを共有しています」。

プロンポンとトンローに構えるお店の中で、日本人スタッフは小田桐さん一人。ベアハグのお店に立てる技術を身につけるまで、タイ式マッサージしか知らないスタッフたちにゼロから基本を教えていきます。週1回の練習会、半年に1回の日本からのゲスト講師による講習会……慣れないタイ人の性格に戸惑ったこともあったそうですが、スタッフの成長がベアハグの成長だと、根気強く見守ります。

「私自身は現場の人間だったので、経営者としてはまだまだ勉強中です。『なんで教えたとおりにやってくれないんだろう』とスタッフに頭を抱える時もありますが、少しずつ技術がついてきた子もいます。きちんと育て上げて、日本の店舗にも送り出せるようにしたいです」。

オープンから2年半が過ぎ、音ちゃんは幼稚園から小学校へ。めまぐるしく過ぎる小田桐さんの日々ですが、“娘とベアハグ”。ふたつの核を持ったその想いは、決してブレないのでした。

6歳になる音ちゃんと。ふたりで過ごす休みがかけがえのない時間だと小田桐さん


PROFILE
小田桐 早織 Saori Odagiri
スポーツトレーナー整体師。「株式会社ベアハグ」所属。1981年、青森県生まれ。日本女子体育大学卒業。小学3年生から始めた剣道がきっかけとなり現職へ。2015年ベアハグ初の海外支店立ち上げのため来タイ。剣道4段。6歳の娘と2人暮らし。趣味は料理・お菓子づくり。

 


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[予約・問い合わせ]
Address:プロンポン・ソイ33/1
Tel:02-662-3089(日本語)
Website:www.bearhug1.com


編集部より
母親のこと、学生時代のこと…当時を振り返る目は時に愛情深く、時に潤みながら、その想いを伝えてくれた小田桐さん。ひたむきにコツコツと、そして明るく進んできた彼女から、前を向くパワーをもらいました


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