タイ雑貨で日常に温もりを 山岳民族と創り出す only one

モン族、カレン族、リス族など、ミャンマーやラオスとの国境近くに暮らす
山岳民族たちと共にものづくりを行い、オリジナル商品を販売する
「Lofty Bamboo」。店主を務める髙沢さんが“ものづくり”に込めた想いとは。

ものづくりが身近な環境で育った幼少期。学生時代からアジア各国を訪れる中でタイに魅了され、40歳を前に移住を決意した髙沢利典さん。移住後に入学したチュラロンコーン大学・大学院の卒業直前、「タイで何ができるか」を思案していた時期に、知人からカオサン通りの店舗スペースを紹介され、雑貨店店主としての人生を歩み始めました。

「旅行が好きでタイを何度も訪れていた時に、山岳民族の人々の手から生み出される繊細な飾りや衣装に惹きつけられたんです。織り物を巡る旅と称して、各地を訪れたこともありました。もともと雑貨店経営にも興味があったので、本当にありがたいお声がけでしたし、幸運な巡り合わせでした」と感謝を口にします。

今でこそ、店内には色鮮やかなポーチやバッグ、アクセサリー、洋服などさまざまな商品が並びますが、2007年のオープン当時は準備不足だったと髙沢さん。「まだ自分たちの商品がなく、タイで展開されている他のブランドにお願いし、取り扱わせて頂いていました。店の商品がすべてオリジナルなるまでには、5年ほどかかりましたね」と振り返ります。

旅行好きの髙沢さんだからこそ、商品のテーマは「旅」。タイを訪れた人たちが肩肘張らず、リラックスした時間を楽しめるよう、洋服は軽くてシワができにくいリラックス素材を使用。在タイ者には、日常の中で心が明るく元気になれるように、また日本に帰国した後もタイの空気を思い出せるように、デザインや配色、手仕事から生まれる温もりにこだわります。

商品を通して、民族の
アイデンティティーを世界へ

記念すべき最初のオリジナル商品は、ビーズを使ったシンプルなアクセサリー。それが、今も続くカレン族のグループとの付き合いの始まりでした。

作業を行うのはすべて女性。男性が出稼ぎに行っている間に家を守り、子育てを行う彼女たちが働き続けられる環境にあるかを、髙沢さんは常に意識してきました。そして、安定したクオリティーでものづくりを行えるか。それを持続できるか。商品として販売するからこそ、この2つは妥協できない条件でした。何度も村に通って顔を合わせ、作業環境や不具合を解消し、少しずつ作業のバリエーションを増やしてきたのだと言います。

「重要なのは、山岳民族の人たちに作業を押し付けるのではなく、自分たちのものづくりに対して“誇り”を持てるようになること。初めは収入源としてだけの作業かもしれませんが、商品を通して、自分たちの文化やアイデンティティーを世界へ発信することができる。そうしたものづくりが喜びに変わり、私たちと仕事をして良かったと思ってもらえればうれしいです」。

2012年には、「世界フェアトレード機関(WFTO)アジア」に加盟。昨年からは本部の承認会員として、タイの作物や製品に対し、一定の基準を超えたものをフェアトレード商品として認証する資格を取得し、生産者に公正な取り引きが行われるよう支援を続けています。タイで自分ができることを体現するために   。

「なぜタイにいるのか、タイのために何ができるかは、今後もずっと自分自身に問い続けるテーマでしょう。その根幹にあるのが僕にとって“ものづくり”ですし、いいデザインって人を元気にする力があると思うんです。それをタイの人たちと共有したい。心のこもった温もりあるものを、一緒に創り続けていきたいですね」。

お店を支えるスタッフたち。「ゆくゆくは店舗全体を任せられるようにしたい」と髙沢さん


PROFILE
髙沢 利典
Toshinori Takasawa
1965年生まれ、長野県出身。旅行が好きで学生時代からアジアを巡り、2002年タイに移住後、チュラロンコーン大学・大学院に入学。卒業後の07年5月、カオサン通りで雑貨店「Lofty Bamboo」をスタート。09年にMBK店、16年にはプロンポン店をオープン。趣味は、中古レコード探し。タイの好きなところは“人”。


Lofty Bamboo
カオサン、MBKでも営業中!
温もり感じるオリジナル雑貨
モン族・カレン族などタイの山岳民族と共にものづくりを行うタイ雑貨店。商品はすべてオリジナル。手刺繍や細かいデザインのあしらいにこだわり、そばにあるだけで元気をもらえる商品が並びます。
[問い合わせ]
Address:2nd Fl., 20/7 Sukhumvit 39
Telephone:02-261-6570
Time:毎日9:30〜18:30
Facebook:LoftyBamboo
Website:www.loftybamboo.com


編集部より
「旅行に出ると、必ず発見がある」という髙沢さん。最近訪れたモロッコでは、現地の製作者と共にカゴバッグを作り、持ち帰ってきたのだそう。タイをはじめ、世界各国のエッセンスが、Lofty Bambooには詰まっていました(山形)

取材・文 山形 美郷


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