日系企業動向と“配慮”

業務は通常通りだが、日本人学校の運動会は中止。今後求められる行動とは?

 

プミポン国王の崩御から約10日が経過した。王宮付近には、地方からも多くの弔問者が駆けつけ、中心部のショッピングモールでは弔意の記帳を受け付けるなど、タイ全土が引き続き喪に服し、哀悼の意を表している。気になる日系企業の動向は、在タイ日本大使館及びバンコク日本人商工会議所(JCC)、JETROバンコクが崩御の翌日となる14日と17日の2回に渡り、会員企業30社に緊急アンケートを実施。迅速な対応で日系企業の動きをホームページで報告した。
それによれば、崩御の週明けに通常業務となったのは30社すべて。取引先に影響が出ていると回答した企業もなし。税関やイミグレーション、物流や交通で支障をきたしているという企業もゼロで、何も問題なく、業務を続けていることがわかった。旅行会社のキャンセルなどもほとんどなかったという。また、多くの日系の製造業が出展するMETALEXや国際ギフトショーは通常通り開催。一方、ゲームショーやビジネスマッチング商談会、そして日本人学校の運動会、企業名を冠するゴルフコンペやパーティも、年内はそのほとんどが中止となった。
今後、外国人である我々が気にしなければならないのが“配慮”に尽きる。すでに街中では黒い服に身を包んだタイ人であふれ、アパレルショップのディスプレイも黒一色。もし黒い服がなければ、左肩に黒いリボンの喪章を付けることで弔意を示すこととなり、すでに日系企業にも浸透している模様。ただ、喪服を着用する期間については、果たして30日なのか、1年間なのかはまだ明確ではないため、今後の様子をみながら検討する余地がある。
現状、飲食店のみならず映画館やゴルフ場なども通常通り営業はしているものの、しばらくは行動や言動に配慮した静粛な雰囲気でいることが求められるだろう。今の時代、いいことも悪いこともSNSで拡散されれば、広まるのは一瞬。ましてやこの国がSNS大国であることは誰もが知るところ。東日本大震災を振り返ると、何もかも自粛に縛られるのは経済面からも決していいことではないが、前述したように、ここは異国。しばらくは“日本人らしい”誠実な姿勢が求められるのは言うまでもない。

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