混乱のBTS

首都バンコクで大規模な遅延多発

バンコク都民の足として欠かせない高架鉄道BTSだが、今年上半期ですでに31回の故障による遅延。記憶に新しい6月の遅延だけでも計12回と、異常なまでのトラブルを観測した。一日平均約60万人が利用するBTSで、一体何が起きたのか? その原因は、今や人々が生活をするうえで欠かせない、あるモノから発せられるものであった。

6月26日、BTS運行会社「BTSC」のスラポン専務取締役はトラブルの原因を発表。それによると、故障の原因は「信号システム変更による不具合と、携帯電話による“電波”障害」。同社は、無線鉄道信号システムを最近刷新しており、周波数帯を2.4ギガヘルツに変更。しかし、これとほぼ同時期に、通信会社大手「DTAC」が2.3ギガヘルツの新サービスをリリースしたため、近い周波数帯の携帯電話の電波が干渉したと疑いをかけていた。

これを受け、タイ放送通信委員会(NBTC)は同日、実際に同電波が影響を及ぼしているかどうか調査を開始したと発表。調査結果がまとまり次第、NBTC、BTSC、DTACの3社で対策を協議するとしている。なお、DTACは新サービスを停止し、周波数帯もBTSのシステムに干渉しない周波数帯に移行するなど、すでに対策を進めている。

しかし、今回のトラブルが引き金となり驚くべき事実が判明。NBTCはBTSCに対し、1年以上前から周波数帯に関して注意をしていたことが分かった。また、現在BTSが採用している列車運行システムは、運行列車との無線通信がどれか1つでも絶えるとすべての列車が停止になるという。

利用者からは「駅のアナウンスや公式SNSでの発表と、実際の遅延状況がかけ離れている」といったコメントをはじめ、「トラブルが拡大するようなシステムを採用しているBTSCの経営陣が問題だ」などというような批判が、今も殺到している。

信号システムの変更は同月末日に終了し、BTSも通常運行に戻ったが、利用者から失った信用を取り戻すには時間がかかりそうだ。

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