ケガと後遺症

菅谷 卓広▶世界最先端の電気治療を筆頭に、整体や鍼、カイロプラクティックを融合した複合治療を行う「ペイン アウェイ クリニック」院長。身体のエキスパートとして、タイで12年の実績を誇る。

北川 宏▶酒と仕事をこよなく愛する「週刊ワイズ」の敏腕編集長。多忙により身体のあちこちが悲鳴を上げ、愛する妻と4歳の娘にも愛想を尽かされがち。夢は、生まれ故郷の北海道で町長になること。


連載最終回のテーマは「ケガと後遺症」。とりわけ、筋肉や腱が衰えた中高年の場合、日常の何気ない動作も思わぬケガの原因となり、治療や回復にも時間を要してしまうもの。泥酔してアキレス腱を損傷した黒歴史を持つ弊誌の北川編集長が、現在抱えている膝の悩みについて菅谷院長に相談しました。

▶ここ数年、ずっと膝に違和感を感じています。大きな支障ではないのですが、起床時やイスから立ち上がる際に足が突っ張り、スムーズに歩き出せないんです。職業柄、1日中座りっぱなしで原稿とにらめっこすることもしばしば。年齢や運動不足のせいかもしれませんが、原因がわかれば嬉しいです。

▶全体的に下腿を触診させて頂きましたが、左のふくらはぎが太く、右よりも硬く張っているようです。関節の可動域を確認する徒手検査でも左の足首の動きが制限され、左右差が見られますね。もしかして、アキレス腱を痛めたご経験がありますか?

▶えー! 触れただけで過去のケガまでわかるんですか!? 仰る通り、5年ほど前に左のアキレス腱を切り、半年ほどギプスで生活していました。恥ずかしながら酔っていて明確な理由はわからないのですが、無理な姿勢でジャンプした時にブチッと切れてしまったようです…。でも、足首にあるアキレス腱の後遺症が膝に出るなんて、ピンときません。

▶そうですね。同じ足でもアキレス腱と膝は離れた部位にあり、イメージしづらいかもしれません。連載4回目の「スポーツ障害」でもお話しした通り、私たちの身体はたくさんの筋肉で構成され、筋肉同士が連鎖することで運動しています。このような構造を「キネティックチェーン」と言いますが、ふくらはぎを構成する下腿三頭筋(ヒラメ筋と腓腹筋の総称)は、足首の動きを司るアキレス腱や膝と連動しています。このため、ジャンプなどでふくらはぎの筋肉が一気に収縮すると、アキレス腱や膝も引っ張られて、大きな負荷がかかってしまうのです。こうした動きによるケガや後遺症を防ぐためにも、日頃から筋肉や腱の柔軟性を保つことが大切なんですよ。

▶なるほど。子どもの頃から身体が硬いほうでしたが、柔軟性って大人のほうが重要だったんですね。私の場合、負傷後のリハビリもサボっていたから、余計に後遺症が出やすかったのかも…。有効な治療法と、ケガの予防について教えてください。

▶当院では、理学療法機器や整体治療を併用し、硬くなった筋肉に適度な弾力と柔軟性を記憶させる治療を行っています。また、患部周辺の筋肉に直接アプローチできる鍼治療もとても効果的です。予防としては、足首や股関節の柔軟性を高めるストレッチが有効。張り切って負荷をかけ過ぎると逆に痛めてしまいますから、お風呂上がりなどの筋肉が温まった状態で丹念に行うといいでしょう。


実際の治療の様子。整体治療により下腿全体の筋肉をときほぐし、患部の痛みを取り除く


Website:https://www.painawayclinic.com/

この記事をSNSでシェア!

一番上へ戻る