国連がタイ禁煙「不十分」

タバコ増税延期、産業や喫煙者への配慮は?

5月31日は世界保健機構(WHO)が制定した「世界禁煙デー」。現在、タイでは積極的に喫煙規制を進められている一方、同日、国連からさらなる対策強化を求める声明が出されるなど、まだまだ課題が残る。

タイでは20歳以下がタバコを購入できないのはもちろん、病院や官公庁、寺院、バス亭など多くの公共の場で禁煙と定められている。タバコの広告宣伝なども御法度。逆に、政府はテレビCMを通じて「タバコは体に悪影響で、周りの人にも迷惑をかける」という喫煙抑制のメッセージを発信している。政府機関のタイ健康促進基金が行った調査によると、広告を見た255人のうち、73%が喫煙者に悪い印象を受けたとの結果が出ている。

2016年6月からは保健省が喫煙者を「3年間で300万人減らす」との目標をぶち上げ、ポスターやSNSを使って禁煙用ガムやキャンディの摂取を促すなどの活動を始めた。同省によると、キャンペーンには29万5000人が参加し、うち11万6405人が6カ月超の禁煙に成功。同省は今年、「Tobacco burns your lungs(タバコは肺を燃やす)」というキャッチフレーズを打ち出し、今後もキャンペーンを継続する考えを示している。

タイの姿勢に国連も「世界でも先進的な活動」と評価。一方、タイで毎年7万2000人が喫煙関連の疾患で死亡しており、喫煙が国内総生産を年0.8%押し下げていると指摘し、より一層の努力を求めている。

そこで政府の切り札とされるのが、タバコの増税だ。昨年末には物品税局が今年10月から税率を20%から40%に引き上げると発表。ところが5月7日、同局は生産者保護を目的に増税を来年10月に先延ばしすると決定した。禁煙運動が世界的に巻き起こる中、この延期策には批判の声も出ている。

ただ、忘れてはならないのは、タバコ産業や喫煙者にも権利があるということ。来年のタバコ増税が実行に移されるか否かに加え、合法的にタバコと関わってきた企業や人への配慮はどう成されるか、注目したい。

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