米凶作で経済損失500億B

生産半減、主要販路の輸出も不調

タイ米の不作が深刻だ。タイ米輸出業者協会によると、今年は干ばつにより米の生産量が前年比4〜5割減となる見通し。例年だと約850万〜950万は生産されるが、今年は400万〜450万tにまで落ち込むとみられる。経済損失は約500億バーツに及び、タイ経済が深刻なダメージを被るのは不可避だ。

供給減で籾米(籾殻が付いた米)相場は昨年末時点の1万6,000バーツから、現在2万5,000バーツまで上昇。とはいえ、農家にとってこの上げ幅は不十分だろう。本来、生産量が半減すれば、価格が倍増しなければ収入は落ち込んでしまうからだ。相場高が限定的となった理由は、主な輸出先である中国の在庫が潤沢なことと、バーツ高が影響している。

商務省によると、今年1〜7月の間、米の輸出量は前年同期比21.6%減の490万t。問題は金額ベースで、18.8%減の818億バーツに留まった。同省は、バーツ高により、他の生産地よりもタイ米が1t当たり760バーツ割高になったと説明。加えて、中国の需要減退で単価が伸び悩んだもようだ。

同協会のチャルーン会長は今年の年間予測輸出量を950万tから900万tに、金額を1,550億バーツから1,450億バーツに下方修正した。これは過去4年間で最低の水準。タイ米の輸出競争力低下に危機感を持った同省のジュリン大臣は、中国の他に、イラクやインド、ニュージーランド、フィリピン、日本など新たなマーケットを開拓する方針を示している。

もちろん、タイ米の供給減は国内でも大きな問題となっている。もち米価格は昨年末に1kg20〜25バーツだったが、今年8月には40〜50バーツに高騰。一部の精米所はもち米のさらなる価格上昇を見越し、あえて販売せずに在庫として抱えているようだ。もち米を必要とする飲食店や消費者に不当な不利益を与えるとして、ジュリン氏は精米所の悪質な棚上げ行為に対し、最大10万バーツの罰金または禁錮5年の刑を科すると注意している。

農業に不作はつきもの。生産者も消費者も、今は我慢の時なのかもしれない。

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