低迷経済に一筋の光

政策金利が過去最低など、減速が続くが・・・

今年も早いもので残すところ1カ月余り。

最近の動向とともに、ひと足早いが2019年の国内経済を振り返ってみたい。

タイ中央銀行のティッタナン金融政策委員は6日、政策金利を従来の1.5%から0.25%下げ、1.25%とすることを発表。

利下げは8月以来2会合ぶりとなり、過去最低の水準に並んだ。

これについて同委員は「米中貿易戦争とバーツ高の影響で輸出が減少し、経済成長が潜在力を下回っている」と説明。

これが国内消費の衰えや製造関連を中心とした雇用低下を招き、社会に暗い影を落としていることは言うまでもないだろう。

この発表に先駆けたタイ工業省工場局の調査によると、長引く米中貿易戦争の影響や米特恵関税の一部が来年4月に停止されることを受け、今年10月までに国内で1989の工場が閉鎖。

これにより昨年比31%増となる約5万人が失業したと言う。

中でも大きな被害を被ったのが電子部品や家電製造業、そして自動車部品メーカーだと言うから、タイに進出する日系企業にとっても耳の痛い話だ。
また、「タイランド4.0」の中核事業として政府が舵を取る東部経済回廊(EEC)構想についても、決して順風満帆とは言えない状況のようだ。

域内への工場新設や増設のための申請は前年比37%増と一見好調に見えるが、投資総額は23%減の1,670億Bに足踏み。

案件自体は増加しているものの、大規模プロジェクトの参入が少ないのが要因と見られている。

2023年にはEEC域内ラヨーン県に位置するウタパオ空港、バンコク郊外のドンムアン空港、スワンナプーム国際空港の3つを結ぶ高速鉄道が完成する予定。

目下、これが良き起爆剤となることが期待される。

ここで明るい話題を一つ。

低迷が続くタイ経済の中でも、ロボットプログラミングやIoT、AIといったデジタル産業は好調を維持している模様。

EEC開発政策委員会では23年までに同産業の投資額が1,000億Bに達すると見込んでいるのだとか。

これが新たな波及効果を生み、景気回復の一歩となることを期待したい。

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