2019年のタイ政治

ドラマを生んだ総選挙を中心に、駆け足で振り返る

5年ぶりの民政移管、8年ぶりの総選挙、69年ぶりの国王戴冠式…。

今年は歴史に刻まれる重大な出来事のオンパレードだった。

まずは何と言っても、3月24日の「総選挙」である。

軍事政権を支持する親軍政と反軍政が争う構図となったが、結果はご存じの通り、全19党の大連立のもとプラユット内閣が誕生し、5年ぶりとなる民政移管が成された。

この選挙戦の中で、最も度肝を抜いたのが現ワチラロンコン国王の実姉であるウボンラット王女が首相候補に挙げられたことだ。

選挙序盤の2月8日、タクシン元首相派の「タイ国家維持党」は、王女を擁立しようと選挙管理委員会に届け出を提出。

社会活動に貢献し、AKB48のヒット曲のタイ語版を披露したことでも話題を集める同王女だが、事実上の王室メンバーが国政のトップに立つ意向を示したことは、タイ史上でも極めて異例の出来事となった。

しかし、同日夜に国王が「不適切」との声明を発表したことで事態は一変。

同党は解党処分を命じられ、党役員13人は今後10年間の政治活動を禁じられることに。

反軍政のタクシン派にとって痛恨の一撃となった。

総選挙で台風の目となった「新未来党」もまた、大誤算に見舞われた。

結党からわずか1年ほどにも関わらず80議席を獲得し、第3党にまで上りつめた同党だが、9月にタナトーン党首の候補者資格に対する問題が浮上。

その後議員資格を剥奪する判決が下され、解党か否か今もなお国民の注目を集めている。

さらに11月に入ると、「ASEAN首脳会議」や、東アジア地域包括的経済連携「RCEP」に向けた交渉会議にも視線が注がれた。

とりわけ「RCEP」にはASEAN諸国と日中韓印豪など16カ国が参加し、実現すれば世界最大規模の自由貿易協定となるはずだったが、突然インドが撤退を表明。

結果、交渉妥結は来年へ引き伸ばされることになったが、インド抜きで15カ国での先行妥協案を望む声もあり、その動向に期待が高まっている。

遂に今年も年内最終号。

来年も独自の視点でニュースを切り取っていく。

乞うご期待!。

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