庶民が後押しタイ消費経済

日常の買い物を喚起するカンフル剤。 政府が展開した「コン・ラ・クルン」とは

コロナ禍が続く中、依然、観光収入が低迷するタイ経済。

失業や売り上げの伸び悩みで困窮する国民が増えているのが実情だ。

そんな状況下、これまでに政府は国民の生活支援のためにいくつかの対策を講じてきている。

失業者への最大15,000Bの支援金給付、社会保険料の減額、観光産業を後押しする「ラオ・ティアオ・デゥアイカン(共に遊ぼう)」などを展開してきたが、最近、政府が打ち出した「コン・ラ・クルン(半分・半分)」というキャンペーンが国民から好評を博している。

このキャンペーンは、政府が一般消費者と事業者向けに発行したアプリ「PAOTUNG」を介して飲食や買い物をすると、消費者は半額で購入でき、残りの半額は政府が事業者に還元するという仕組みだ。

ただ、高額の買い物には適用されず、消費者が支払う金額は1日150Bまで。

つまり、1日300Bまでの商品を購入できることになる。

また、12月31日の終了日までに適用される買い物の総額は6,000Bで、政府が半額の3,000Bまでを還元する。

11月21日時点における登録事業者は、全国の青果店や鮮魚店などの食料品店を中心に約78万店だとされる。

キャンペーンを開始して約1カ月間の総消費額は約230億B。

最も売り上げを伸ばしたのが屋台で、1日の売り上げがキャンペーン前に比べて3倍増だというから驚きだ。

この刺激対策がいかに一般庶民のライフスタイルに合致したのかがわかる。

また、実際に街中の市場でも、このアプリを使って買い物をする人の姿を多く見かける。

ラムイントラ通りにある市場の業者によると、「コン・ラ・クルン」が導入されたことで常連客の来店回数が増え、今まで来なかったような新しい顧客も確実に増えているという。

その日の売り上げが目に見えて上がり、経済の回復を促進させる上で、今までで最も効果的な施策なのではないかという。

日常生活の中で、多くの一般庶民に歓迎されている「コン・ラ・クルン」。

反応がいいことから、政府は来年1月からも予算を増額した上で、第2弾のキャンペーンを展開すると決定している。

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