管理職必見!タイ人材業界サミット前編タイ人採用

タイで活躍する人材紹介会社3社が参加し、タイにおける採用動向について議論した2時間。
前編は、「タイ人採用」について。日系企業が求めるスキルは? 平均給与は? タイ人マインドとは? 管理職の方、必見の内容をお届けします。

管理職必見!タイ人材業界サミット前編タイ人採用

 

適正なタイ人の給料とは?新卒のトレンドは2万5000B

—日系企業が求める条件はどのようなものが多いですか

リーラコーエン 吉田(以下R)弊社がご依頼いただく求人は、どちらかというとバンコク市内のオフィスワーカーが中心なため、大卒で英語は必須となっています。また、未経験者よりも経験者のご依頼が多いです。日本語が必要というケースもありますが、それほどは多くないです。

OSリクルートメント 吉田(以下O)弊社は派遣が中心なので、主に工業団地の製造業のお客様からオーダーが多いです。北はサラブリー、南はイースタンシーボード、レムチャバンくらいまでカバーしています。エンジニアが全体の60%くらい、アドミンとアカウントが20%くらいで、営業が10%、日本語通訳が10%くらいです。特にエンジニアは日本語を求められる機会はあまりないですが、英語は必須です。


—英語のレベルはどれくらい必要になりますか

O読み書きは基本で、TOEICでいうと600〜800点くらい。エンジニアのスキルの一つとして、すでに英語が含まれているのだと思います。喋れる喋れないはかなり個人差がありますが、ある程度は必須です。

JACリクルートメント 久留米(以下J) 新規立ち上げと既存の企業ではだいぶ違いますが、ここ1年で感じるのは立ち上げの企業は日本語スピーカーの人事総務ができる人材を採用して、その人材をハブとして、技術者や現場を揃えていくというケースが多いと思います。特に、英語もタイ語も苦手な方だという方が駐在で来られた場合などです。


—会社のコア人材を雇ってからということですね。自ずと給料も高くなりますね

J日本語を話せる人材については、通訳だけできるという方はたくさんいらっしゃるのですが、それだけでは企業側は魅力を感じなくなっているという現実があります。プラス営業や人事といった経験が求められています。


—さて、給料についてですが、製造業に従事する人間とオフィスワーカーでは違いますよね

Rオフィスワーカーでも幅は広いです。新卒で1万5000バーツ(以下B)というところもありますし、マネージメント層の6万Bとか7万Bとかもあるので。平均すると、3万〜4万Bになるかと思います。


—3万Bは当たり前なのですね

J最低賃金法が施行されてから、以降右肩上がりで上昇しています。日本語を話せる新卒の方は、少し前まで1万8000Bから2万Bくらいで採用できていたのが、今は2万5000Bくらいになってきている状況です。希望給料は2万5000Bが圧倒的に多く、最終的には2万2000Bから2万5000Bの中で決まっていくのですが、2万5000Bというのが新卒のトレンドと思うくらい一つの目安になっているようです。

O弊社もだいたい同じ感覚です。バンコクと周辺工業団地というと、工業団地の方が少し安い印象はあります。ただ、サラブリーも2時間で行ける距離ですから、地方というほど地方ではないと思いますので、それほど大きく変わるわけではなくて、2000〜3000B違うくらい。2万5000Bというのはやはりトレンドなのでしょう。経験が少しあるという人も同じような希望金額だと思います。


—雇われる側の決め手はなんでしょうか

O給料、福利厚生、あとキャリアアップできるポストかどうか。その3つで仕事を選んでいるのではと思います。大手の製造業ですと給料は基本的に高いのですが、福利厚生もしっかりしているので、多少条件が悪くても決めるというケースもあります。その辺のバランスで最終的に判断するのだと感じます。


—新卒(日本語可)が2万5000Bくらいだとすると、キャリア転職の給料はどうでしょうか

O:1〜2年でこれくらい上がるという水準もあるようでないですし、ルーティンではなく特殊なケースになった場合は、すべてを考慮して決めるというケースもあります。平均値を出すのは難しいですね。

—企業側が求める年齢はありますか? 新卒がいいのか、ベテランがいいのか

Oマネージャークラスになれば違ったりもするのですが、20代中盤から30代中盤が一番多いですね。あとは組織のバランスもあると思うんですよ。その企業の上司が30代ならそれより上というのはあまりないですし、年上の人を尊敬する文化がありますので。

 

賃金上昇の原因は企業による争奪戦?

—マネージャーのポジションという話が出ましたが、日系企業がマネージャーを求めているというケースもありますよね

J弊社は特にシニアレベルからエグゼクティブ層にも力を入れているため、そういう案件は多いです。ローカライズを図っている企業は、MD、GMクラスの引き合いも大変多い。そのレベルのポジションになると、給料は10万B〜20万B程度です。


—実際、そういった人材はタイにいるのでしょうか

J日本人が求めるビジネスマンのレベルは非常に高いのですが、それを上回る人材はいます。そういう方々の傾向としては、日本や英語圏での就業、もしくは留学経験がある方が多いです。多国籍企業でトップマネジメントとして働く以上、文化背景の違いなどを受け入れ、かつその環境の中でパフォーマンスを発揮できる方が求められるからだと思います。


—日本語を喋れるキャリア採用のタイ人の給与相場は大体いくらくらいになりますか

R先ほどおっしゃっていましたが、通訳だけという雇用がなかなか少なくて、営業経験とか経理とかの経験があると、やはり4〜5万Bはしますね

Oエンジニアは少ないです。日系企業もそこまで求めてないように思えます。単純に日本語を喋るだけだったら、2万B前後の希望で登録されている方もいます。通訳+業務経験者になると、3〜4万Bになりますし、工業団地でも8万Bくらいで通訳を採られる企業もあるので、差がありますね。

J採用しづらいエリア、バンコクから離れた工業団地だと、ある程度高い給料を出さないと人が来ないというところもありますので、異常に上がっているケースもあると思います。通訳で8万Bというのも聞きます。


—売り手市場になっていると思いますが、賃金の上昇は感じますか

Rタイでは2年目なのでそれ以前がわからないのですが、この1〜2年ではそこまで感じていないです。弊社は中国にもあるのですが、製造拠点のマネージャーだとタイ人の方が賃金は高いですね。最近はタイのローカル企業も欧米化してきていて、海外でMBAを取った人などが活躍しています。そうすると人事制度も変わってきて、自ずと給料も上がってきます。給料が高い層は結構いるという印象ですね。マネージャーになると優秀な人が多いし、そういう人が欲しいとなると給料を高く設定しないといけないというのはあります。

O弊社は今年で3年目なんです。洪水前の状況は把握できていないのですが、確かに少し上がっているという感じはあります。大幅にという感覚ではなくて、元々能力のある人材の給料は高いので、集めづらい分競争が激しくなって、企業側が上げているという感覚です。

J同じですね。賃金上昇率はゆるやかに年6%ずつくらい上がっているので、急激に上がったという感覚はないものの、日系企業や欧米企業の進出が続いており、それら外資企業が給料を上げているという感覚はあります。


—売り手市場のため、高まってきているのがジョブホッピングの問題です。食い止めるにはどうすればいいのでしょうか

R賃金と環境の両方がポイントになると思うのですが、明確な評価制度、福利厚生、人事制度の3点でしょうか。いかに具体的にキャリアプランを見せられるかという、密なコミュニケーションが必要になると思います。一番大きいのは評価制度を明確に表示しておくのがいいと思いますが。


—「これだけやったら、あなたはこれだけのお給料を受け取れます」ということですよね。ただ、実際は曖昧になっている……

一同:そうです(笑)。

R人事部門がない企業もあったり、制度が明確化していなかったりする企業も少なくはないと思います。その辺はすごく見えにくい部分かと。

O難しい問題だと思います。弊社はベトナム、インドネシア、中国をはじめ東南アジアに拠点もありますが、ジョブホッピング自体がこの地域では当たり前なんだと思います。日本人からすると、転職を繰り返すのは決していいことではないというイメージがありますが、他の国では少し違います。新卒で入って、30歳くらいまで転職を繰り返しながら、サラリーマンとして給料が上がる限界まで仕事を変えていく。反対にジョブホッピングがあるということは、一方でいい人材を確保できることにもつながります。

J終身雇用を押し付けるのは不可能だと思うんです。求めすぎるのもよくないですが、数ヵ月で辞めていくという状況を変えたほうがいいと思います。タイ人は30歳くらいまでは転職を重ねる人たちだというのを前提とし、会社のビジョンや細かい制度もそうなのですが、これでもかというくらい説明していくことが大切だと思うんです。「会社としてこう進もうとしていて、君たちにはこういうことを期待しているんだ」というのを口酸っぱくいうことに対しては、受け止めてくれるようです。

 

仕事を辞める理由は給料の問題ではない?

管理職必見!タイ人材業界サミット前編タイ人採用

—辞める理由で一番多いのは人間関係か、給料の問題か、そこに尽きると思うのですが

Jタイの試用期間は119日と法的に定められているのですが、その期間内で辞める人たちの理由を、昨年調査しました。理由として最も多かったのが仕事内容で、全体の60パーセントを占めていました。ただ、仕事が辛くて嫌だというのではなく、入社前に聞いた話と全然違う仕事をさせられているということです。「話が違うじゃないか」と言って辞めるケース。一方で、日数が経過するごとに人間関係を理由に辞めていく人たちが増えます。


—確かに面接時はある程度、大雑把な説明になるようですね

J弊社もご採用企業様には「採用の際はできるだけ事細かに、可能性として起こりうることまで全部伝えてください」という話をしています。それだけで退職を減らすことはできます。

Oまったく同じです。「思ったよりきつかった」というのが圧倒的に多い。ウチは派遣が多いので、大半が工場で働くワーカーです。説明しているはずなんですけど、「実際やってみたらきつかった」と言って辞める(一同笑)。

R例えば面接で「車の運転が必要」と言った場合、面接する側は毎日あるものだと考えていても、面接される側のタイ人は、「毎日車の運転があるとは聞いていなかった」といった話が出てきます。詳細は必要以上に伝えないと、相違が出てきてしまうので、事細かに伝えることはすごく大きいと思います。


—前提として、理解の違いがあるんですね

R面接の際には、タイ人から多く質問はしてこないですよね。それを見越して、例えば、週にどの位の頻度で運転の必要があるかを伝えないといけません。言わなくてもわかるでしょ、はないと認識するべきだと思います。


—「何か質問ありますか?」と振っても「ないです」と言われるので、逆に不安になります。タイ人マインドなのでしょうか

Oあまり深く考えていないんだと思います。それしか答えが出てこないです。転職することは人生の一大イベントじゃないんですよね。また、目上の人を尊敬することもあるので、何か言われた時に質問するのを遠慮することもあると思うんですよ。外資で働いた方とか、留学経験がある方はけっこうズバズバ質問してくるじゃないですか。

J「どうして質問をしないのですか」と聞くと、「説明を受けているのに質問をすると、その人の説明力不足を指摘しているようで失礼なので聞けません」という方もいます。相手に嫌な思いをさせたくないと答える人が多くて驚きました。


—最近のトレンドという意味で、増えてきた職業などはありますか? 自ずとITやクラウドビジネスも増えてきていると思いますが

RIT、WEB、モバイル業界のクライアントは増えてきています。ポジション的にはITのプランナーやディレクター、エンジニアポジションなどが増えてきていますね。

O特に業種を問わず、第三次産業でサービス系の企業が増えてきています。

JITに限らず、非製造業の割合が増えてきているというのは感じます。サービス業や、販売会社などを含めて。求人案件も50%は製造業、残りは非製造業という感じだったのが、今年に入ってから60%が非製造業。最近多いのはサービス業の営業ができる方。これまでは営業といえば、製造業の営業職というのが多かったのですが、最近はサービス業での営業職が増えています。


—具体的にどういった分野のサービス業ですか

Jホテル業界、レジャー、不動産、飲食などです。飲食業では店舗開発者だったり、エリアマネージャーだったりとか。


—いわゆる飲食店の店員ではなくて、その人達をまとめる人材ですよね。ちなみにスタッフをまとめる人たちの平均給料はどれくらいでしょうか

Jピンからキリまでですが、例えば日本語を話せて、日本での飲食業の店長経験がある場合、5万B程度でしょうか。

 

給与格差とタイ人マインド

—日本人との給与格差について、タイ人は不満に思っているのかどうか、ご存知であれば教えてください

Rその不満は自社でもクライアントでも今まで聞いたことがないです。

O中国に進出している日系企業では、長年勤務しているローカルの中国スタッフも普通に日本語を喋れるケースが多く、またスキルも上がっていくため、新人の日本人とベテラン中国人との間で給料の格差による不満が出るケースがあるようです。ただ、タイではあまり聞いたことがないです。タイ人の考え方の中に、日本人とタイ人の役割、責任範囲が違っているという認識があるのだと思います。その結果、不満が表面化していないのではないでしょうか。

JAC大津逆に企業側から相談を受けるケースがあります。現地採用の日本人を初めて採用する場合、タイ人のマネージャークラスよりも日本人の給与が高くなり、それが明るみに出た時にタイ人に辞められてしまうことを懸念されます。そういった場合には、あらかじめ日本人の役割が何なのかを説明しておいてくださいというお話をしています。その点を明確にしておけば、給与格差の不満というのは抑えられると思っています。


—タイ人マインドについてはどうでしょうか。人前で怒るのはタブーなど、こんな日本の常識を押し付けてはいけないというのがあると思うんですが

J人前で怒るのがタブーというのはそうですね。人前で怒る人は器が小さく、尊敬に値しない人だと思うらしいのです。結果として、そういう上司の下では働きたくありませんと辞めてしまうのです。タイ人マインドについて話す際、私たちがよく使っているのが、「3Sと1G」というのがあります。これはサバーイ(心地よく)、サドゥアック(都合よく)、サヌック(楽しく)。1Gはグレンチャイ(遠慮)。つまり本音と建前の使い分けです。物事を都合よく解釈したり、快適な環境でストレスフリーで働きたいなど、少し理解し難い部分もありますが、一方で、目上の人を敬ったり、教えたことは素直に吸収しようとしたり、育てやすく一緒に働きやすいという一面もあります。

O生産のオペレーターを見ていると、友人が辞めるから自分も辞めるというのは結構ありますね。退職理由があいまいというケースはよくあります。日本人の常識ではありませんが、阿吽の呼吸のようなことはなかなか難しいですよね。例えば日本語の「大丈夫です」の意味を取り違えられるケースもあると思います。こちら側もきちんと伝達することを心がけないといけません。例えばある業務指示をタイ人の部下に出した。しかしうまく伝わっていなかった。伝えきれていないからできなかったのに、これをタイ人のマインドと思ってしまうことはいけないと思います。

 

【参加企業】


OS Recruitment

TEL:02-679-5076~7
E-mail:info-os_thai@outsourcing.co.jp
URL:www.outsourcing-thai.com
5th Fl., Bangkok City Tower, 179 South Sathorn Rd.

【タイ人紹介案件の割合】製造業80%/非製造業20
【日本人紹介案件の割合】全体の1%未満
【会社としての強み】製造オペレーターに特化。バンコク周辺に10の採用拠点。製造現場の状況を日本人による日本語での現状報告や労務問題点などをフィードバックすることが可能
【プロフィール】2011年よりタイで事業をスタートし、現在はバンコク周辺に3子会社10拠点を展開しています。日系企業として製造オペレーターの人材派遣事業を展開する唯一の企業です。製造メーカー様のモノづくりのこれからをささえる企業として派遣事業以外、紹介、請負、労務管理委託事業など総合的な人材サービスを提案し、お客様の発展と現地従業員の生活水準の向上を目指しております。


Reeracoen Recruitment

TEL:02-653-2700
E-mail:info@reeracoen.co.th
URL:reeracoen.co.th
Unit 1108, 11th Fl, One Pacific Place, 140 Sukhumvit Rd.

【タイ人紹介案件の割合】製造業50%/非製造業50%
【日本人紹介案件の割合】製造業50%/非製造業50%
【会社としての強み】ジュニア~ミドル層のホワイトカラーポジション(営業、経理、輸出入事務、エンジニア等)に多くの実績
【プロフィール】Reeracoenは株式会社neocareerの海外ブランドとして、海外4拠点にて人材紹介の実績を持ちます。タイ人のご紹介は勿論、日本人のご紹介に関してもタイ在住及び日本在住者のご紹介が可能です。通常の人材紹介事業の許可申請とは別に、国外に渡る人材紹介の届出を提出しておりますので、安心してご利用いただけるかと思います。日本人採用専門担当もおりますので、お気軽にお問い合わせください。


JAC Recruitment

TEL:02-261-1275
E-mail:jp@jac-recruitment.co.th
URL:www.jac-recruitment.co.th
10th Fl, Emporium Tower, 622 Sukhumvit Soi 24

【タイ人紹介案件の割合】製造業50%/非製造業50%
【日本人紹介案件の割合】製造業50%/非製造業50%
【会社としての強み】スケールメリット(バンコク・アユタヤ・イースタンシーボードに拠点あり)。徹底した情報提供とスクリーニング。日本人による日本語対応(日本人13名常駐)
【プロフィール】アジア9ヵ国で最も強いネットワークを持つ日系人材紹介会社として、ここタイでは2004年よりスタート。現在まで最大規模且つ高水準の人材紹介サービスを提供しております。業界別(製造業、IT、サービスなど)に特化したコンサルタントを配置し、企業様、求職者様それぞれに適したご提案をさせていただいておりますので、まずはお問い合わせください。

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