【中国】「電池材料」争奪、中国企業がリチウム資源囲い込み

【亜州ビジネス編集部】

リチウム相場の高騰が進むなか、内外で資源の争奪戦が勃発している。

動力電池の原材料となる炭酸リチウム(Li2CO3)と水酸化リチウム(LiOH)の市況は、足元でそろってトン当たり18万人民元(約322万円)を超えた。当初から需給がひっ迫しているうえに、先高を意識した多数の企業が買い溜め、売り惜しみの姿勢を強めている。毎日経済新聞などが20日付で伝えた。

“白い石油”と呼ばれるリチウムは、足元で品薄感がさらに広がっている。炭酸リチウムの見掛け消費量(生産量+輸入量−輸出量)は、中国全体で今年8月に2万9400トンに達した。前年同期比で49.3%も多く、過去に例のない消費増を記録している。

世界の6大リチウム企業は、アルベマール(ALB/NYSE)、江西カン鋒リ業(ガンフェン・リチウム:1772/HK)、天斉リ業(002466/SZ)、ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM/NYSE)、リベント(LTHM/NYSE)、オロボア。これらのリチウム関連売上高は、2020年に人民元換算でそれぞれ73億7000万人民元(約1320億円)、38億6000万人民元、32億4000万人民元、24億7000万人民元、18億6000万人民元、4億3000万人民元に上った。最大手のアルベマールによると、世界の炭酸リチウム需要は、2020〜25年にかけて年率平均48%、2026〜30年にかけて年率平均22%のピッチで急拡大する見通しという。また、BPによると、2020年の世界リチウム生産量は、オーストラリアの4万トン、チリの2万500トン、中国の1万4000トンなどの順だ。

すでに中国企業は、海外資源の確保に乗り出している。江西カン鋒リ業、天斉リ業、紫金鉱業集団(2899/HK)が買収を宣言、または完了した。紫金鉱業は今月10日、カナダのリチウム鉱山会社であるネオ・リチウム(NLC:トロント)を買収すると発表。ネオ・リチウムはアルゼンチン・カタマルカ州のトレス・ケブラダス塩湖でリチウム開発を手掛けている。買収総額は9億6000万カナダドル(約860億円)に定めた。動力電池大手メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL:300750/SZ)も、カナダのミレニアル・リチウムを3億7700万カナダドルで買収する。江西カン鋒リ業よりも高い価格を提示し、今月に入り株式100%買収の契約を交わした。


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