【インドネシア】首都移転法案が可決、24年までに遷都開始へ

【亜州ビジネス編集部】

国会は18日、首都をジャカルタからボルネオ島(カリマンタン島)の東カリマンタン州に移転する法案を可決した。ジョコ大統領が2019年に打ち出した首都移転計画の法制化が進んだ格好で、新首都の名称を「ヌサンタラ」と明記。24年までに移転作業を開始する。ジャカルタポストが同日付で伝えた。

ヌサンタラはジャワ語で「群島」を意味し、ジョコ大統領が選んだ。新首都は東カリマンタン州の東岸に置き、面積は2560平方キロメートル。首都移転に関する政府の公式サイトによると、23〜27年に中央省庁の公務員を年2万5500人ずつ移動させるとしている。ただスハルト・モノアルファ国家開発計画相は昨年9月、移転作業を全て終えるには15〜20年かかると述べている。

公式サイトによると、首都移転に必要となる費用は466兆ルピア(約3兆7000億円)。うち19%に当たる89兆4000億ルピアを政府予算から拠出し、残りは官民連携(PPP)や民間投資で賄うとしている。一方、スリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相は、新型コロナウイルス対策や景気刺激策に支障が出ないよう留意する必要があると強調。新型コロナの猛威を受け、政府は20年4月から首都移転計画を一時凍結する決定を下していた。

首都移転計画はジョコ大統領が19年8月に打ち出したもので、首都ジャカルタがあるジャワ島が過密状態にあり、地震などの災害も多いことが大きな理由。ただ遷都先の一部地域では昨年、洪水により住宅500戸以上が浸水するなど、災害リスクが完全に消えるわけではない。また新たな国会議事堂については、著名彫刻家であるニョマン・ヌアトラ氏のデザインを政府が採用したが、インドネシア建築家協会(IAI)はニョマン氏が建築士の資格を持たないとして安全性や防護性を問題視するなど、課題が次々に上がっている。


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