【タイ】21年のGDPは1.6%増、輸出好調で予測上回る

【亜州ビジネス編集部】

国家経済社会開発委員会(NESDC)が21日発表した2021年の実質国内総生産(GDP)は、前年比で1.6%増だった。プラス成長は2年ぶり。

新型コロナウイルスの感染拡大で消費が低調だったものの、輸出の拡大が追い風となり、成長率は同委が21年11月に予測した1.2%を上回った。22年の予測は3.5〜4.5%で据え置き。同委は国内消費や観光業の回復、輸出の拡大に期待できるとする一方、インフレ圧力の高まりに警戒感を示した。

21年は、新型コロナの感染が拡大した第1四半期と第3四半期に前年同期比でマイナス成長を記録。両四半期とも活動制限が厳格化される中で消費が落ち込んだ。一方、活動制限が緩和された第4四半期の成長率は、前年同期比で1.9%のプラスを回復。物品輸出の伸びがけん引したほか、政府による新型コロナ医療費の支出増なども寄与した。

21年通期のGDP成長率は前年のマイナス6.2%からプラスを回復

物品輸出が18.8%と大きく伸び、個人消費は0.3%のプラスを確保した。投資も3.4%と前年のマイナスからプラスに転じた。生産面から見ると、輸出拡大を背景に製造業が4.9%を記録。また、情報通信と金融・保険は共に5.7%と伸びが大きく、いずれも年間を通じてプラス成長を維持した。一方、観光業の回復は鈍く、宿泊・食品サービスはマイナス14.4%と前年に続く2桁の落ち込み。また、運輸・倉庫もマイナス2.9%と前年割れが続いた。

22年について同委は、新型コロナの影響が薄れ、消費や観光の回復が続くとの見方を示した。投資の伸びも加速すると見込んでいる。一方、新型コロナの状況は依然として不透明であり、変異株流行のリスクは拭えないと説明。また、インフレ率の予測を1.5〜2.5%(11月時点の予測は0.9〜1.9%)に上方修正した上で、原燃料高が生産や物流の停滞を招く可能性があると指摘した。


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