【ベトナム】対露輸出困難に、制裁で決済できず

【亜州ビジネス編集部】

ベトナム企業によるロシアへの輸出が困難になっている。ウクライナ侵攻を受けて欧米がロシアに制裁を課し、決済が難しくなったことが主因。VNエクスプレスが6日付で伝えた。

欧州連合(EU)と米国は今月2日、ウクライナ侵攻に対する制裁措置として、ロシアの銀行7行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することを決定。ベトナムは国連の緊急特別会合におけるロシア非難決議採択を棄権したものの、対ロシア貿易でSWIFTでの決済が困難となったことから、ベトナム企業による輸出に影響が出ている。

コーヒーやコショウなどの輸出を手がける地場フックシンのファン・ミン・トン社長はこの数日、受注や決済遅れについて対処するため、ロシア企業との連絡に奔走。同社はロシアに年3000万米ドル相当を輸出しているが、欧米によるロシア制裁を受け、出荷は滞っている。これまで行っていたSWIFTでの決済が行えないほか、ルーブルの為替レートが半減しているなど問題を多くはらんでいる。

果物輸出を手がける別の地場企業も、ロシアへの出荷を一時停止。決済だけでなく、輸送も困難になっているためという。代表者は、「ロシア向けの貨物を国際海運会社が受け付けなくなっており、空輸も便数が非常に限られる。何より決済ができない」と嘆いた。

税関総局によると、ベトナムからロシアへの輸出額は21年32億米ドルで、全体の1%弱。輸入も1%弱の23億米ドルで比較的少ないが、ロシアに顧客を持つ企業にとっては死活問題となっている。トン社長は、多くの輸出業者がロシア以外の輸出先を模索し始めているとしている。


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