【中国】車ファイナンスリース急成長、6兆円超え市場に

【亜州ビジネス編集部】

中国のフィナンシャルリース市場で「自動車」が改めて脚光を浴びている。

業界内の試算では、中国の自動車ファイナンスリース市場は急成長が持続し、2021年に3897億人民元(約6兆500億円)規模にまで拡大する見通しという。中国青年報が3日付で伝えた。 

中国の一般的な新車は価格が平均15万人民元で推移している。これを自動車ローンで購入した場合は最低でも初期費用5万人民元かかるのが通例(頭金として車体価格の20〜40%が必要。その他、自動車購入税10%、保険料約5000人民元、ナンバープレート取得費用など)。

一方、若年層を中心に現金で一括購入する例は少ない。「95後」(1995〜1999年に生まれた世代)を対象とするアンケート調査では、「自動車を現金で購入する」との回答比率が38%に過ぎなかった。残りはローンやフィナンシャルリースを利用することとなる。

多くの消費者は手許資金も少ないのが現状だ。今年上半期の1人当たり可処分所得は、わずか上海市、北京市、浙江省で3万人民元を超えたのみ。中国の中部や西部の大部分では、2万人民元にも届いていない。

農村部を中心に、自動車の需要は依然として大きいとみられる。四川省を例示すると、住民1000人当たりの自動車保有は成都市で約300台にまで達する一方、それ以外の大部分では100台未満に過ぎない。また、ある統計によると、100世帯当たりの自動車保有台数は、都市部の41.0台に対し、農村は22.3台にとどまった。農村住民の可処分所得が拡大し、道路インフラが整うにつれて、現地の自動車購買力は高まり続けている。

こうしたなか、車好多集団傘下の新車販売サイト「毛豆新車網(MAODOU.COM)」は、直営実店舗300カ所をベースに、全国の県レベル都市をカバーするオンライン(インターネットサイト)・オフライン(実店舗)販売ネットワーク構築に乗り出した。重慶長安汽車(200625/SZ)などと連携し、2019年に独自の農村開拓プロジェクト「汽車下郷」を始動。対象エリアの販売台数は、前年比で386.7%の伸びを記録している。頭金を1割やゼロに設定したファイナンスリース方式を導入し、地方の3、4線都市や地級市、農村などで暮らす18〜35歳の世代を急速に取り込んだ。

既存の完成車メーカーや自動車ローン会社も相次ぎファイナンスリースに進出している。東風汽車集団股フン有限公司は今年3月、日産(中国)投資有限公司と6億7000万人民元を共同投資し、東風日産融資租賃有限公司を正式に立ち上げた。持ち株比率は東風汽車集団が49.5%、日産(中国)投資が50.5%。広東省・広州市の花都区新華街に本拠を置いた。ファイナンスリースのほか、新車・中古車販売、自動車管理、企業コンサルタント、部品小売などを手掛ける。

自動車金融サービスの重点項目の一つとして、自動車ファイナンスリースは1980年代に中国市場に導入された。銀行業監督管理委員会(当時)が2008年1月に「自動車金融会社管理弁法」を公布・施行したのをきっかけに、サービスが本格化。11年以降、各種資本が参入し、業界は急ピッチに勃興した。


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