タイが揺れた! 衝撃の問題作

表現の自由か? 仏教の保護か?
破戒僧の生き様を描いた作品が物議を醸す

10月16日から公開されている映画「アーバット」を巡り、タイ社会と仏教界が大揺れした。タイトルの「アーバット」とはバリ語で「僧侶への罰」という意味。19歳の悪童に手を焼いた両親は、強制的に出家させるも、彼は仏教に対して微塵の敬意も払わず、暴力、恋愛、薬物などに手を染めていくというストーリーだ。
予告編が公開されるや否や、衝撃的なシーンの数々に世間が激しく反応。若い女性とのキスシーンをはじめ、麻薬を使用する僧侶の姿、仏像をぞんざいに扱うシーンなどに目を覆う人が続出。敬虔な仏教徒は激しく反発し、上映の中止を求める声が相次いだ。渦中の僧侶の意見はさまざまで、ドゥシット区にあるベンチャマバピット寺の僧侶アピシャート氏は、「仏教のイメージを著しく損ねるもので、容認できない。信者の減少にもつながりかねない」と憤りを露わにした。一方、バンスー地区にあるベンチャマバピット寺のパイワン氏は「すべての僧侶がタブーを侵しているわけではない。映画はあくまでも映画」と冷静な見方を示す。さらに同氏は、人々の信仰心を仏教に向けるには、僧侶が自らの行動を省みて、正しい行いをすることが大切だと話した。物議の末、文化省の映画検閲部は12日、「アーバット」の上映中止を通達。ただし、問題のあるシーンをカットすれば公開可能との猶予が与えられた。映画製作会社はこの条件を受諾。キスシーンや暴力シーン、麻薬の使用シーンなど、宗教上のタブーをカットして公開に踏み切った。仏教関係者は胸をなで下ろしたが、話はこれでは終わらず、インターネットを中心に、検閲に反発する動きが加熱。オンライン署名サイトのChange.orgでは、ノーカット版の公開を求める10万以上の署名が集まった。「該当シーンをカットしたら見どころがなくなる」「寺院の現実を映しているだけだ。仏教のよい面だけでなく、悪い面にも目を向けるべき」など上映を求めるコメントが相次いだ。とはいえ映画はR18指定ながら、公開3日目で1500万バーツの興行収入をあげている。炎上商法ではないが、結果的に一連の騒動が功を奏したようだ。

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