ミア・シャオにギック?タイ流“愛の形”今昔

「ミア・シャオ」に「ギック」?
世紀を超えても変わらない、タイの色恋事情を掘り下げる。

「ミア・シャオ」という言葉を聞いたことはあるだろうか。直訳すると、“レンタル妻”。タイにやってきた外国人が、現地の女性を妻にする——。
要は現地で愛人を作ることだが、タイではとりわけ珍しい話ではない。

彼女たちは“夫”から金銭や家、食事などの援助をしてもらうかわりに、妻の(ような)役割を提供する。肌の色が黒い少女が多いことから、別名「黒い真珠」。彼女たちの夫婦期間は、数週間から時には一生とさまざまだ。出会いの場はバーや飲食店などが多いが、最近ではインターネット等も増えてきているという。

ミア・シャオの歴史をひも解けば、ベトナム戦争の頃まで遡ることができる。時のサリット政権がタイの一部を基地として米軍に提供し、多くの米兵が駐留した。
これによって当地の風俗業も隆盛し、色恋沙汰も増加。最初は軽いお遊びだったつもりが、まるで夫婦のような濃密なものにまで発展。

彼女たちのうち、一部のラッキーな者はめでたく結婚、夫の母国へ。だが多くの者は戦争終結後あえなく置きざりにされ、ナイトクラブなどで再度働くことになってしまった。

だがこうしたミア・シャオの記憶は、貧しいタイ人女性たちに多くの影響を与えたという。それは外国人の妻になることは、幸福な暮らしが約束されるという考え方だ。現在でもタイの田舎の女性たちは、よりよい未来のため愛人になる道を選ぶ。そして外国語を、男を魅惑する方法を、複数の男と同時に付き合う方法を学ぶのだ。

また、タイには「ギック」と呼ばれる独特な関係があるという。要は「友達のような、恋人のような」相手のことだが、なんとも都合のいい関係で、はた目にはただの恋人同士。だが当事者たちからすれば、自分たちはギックなので、相手に恋人がいようが束縛や嫉妬はご法度だという。

真剣な交際をせずに、気軽に恋愛のスリルや新鮮さを楽しめるということで、いまやギック文化は若者を中心にすっかり定着。ミア・シャオの多くも、男と別れた後すぐにたくましく次の“夫”を探し始めるという。このちょっぴり奇妙な「夫婦(のような)関係」は、何世紀も変わらない、タイ流の愛の形なのかもしれない。

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