アジア初、タイ人女児の脳を冷凍保存

12回もの手術を受けた女児の脳だけを冷凍保存。
体もない状態で、希望を見出すのは未来の医療技術。

今年1月に亡くなった2歳のタイ人女児の脳が、アメリカのアルコー延命財団によって、冷凍保存された。

女児の名前は、メタリン・ナウワラットポンちゃん(ニックネームはアインズ)。アインズちゃんは、1歳から悪性の脳腫瘍を患い、12回の手術、20回に及ぶ放射線治療を受けたが、症状は好転せず、1月8日に息を引き取った。

父親のサハトーン・ナウワラットポン博士と母親のナーリーラット・ナウワラットポン博士は、11回目の手術後、人体冷凍保存(クライオニクス)の研究・開発において、世界的に名高いアルコー延命財団に連絡。未来で脳腫瘍を完治できる治療法が確立されることを期待し、アインズちゃんの脳の冷凍保存を考えた。

同財団によれば、アインズちゃんは134番目の患者にして、世界最年少、アジアでは初。まずは、タイで人体を冷凍保存し、その後アメリカに搬送。同財団で、脳だけを摘出し、液体窒素によってマイナス196度で保存し、遺体は火葬された。つまりアインズちゃんが蘇るときは、脳を蘇生した上で腫瘍を摘出し、さらに脳を入れるための体も必要になる。かかった費用は、30万米ドル以上(約1000万バーツ)。

同記事が報じられると、仏教国という背景からか、輪廻転生の観点で「人体を冷凍保存すれば、来世では幸せになることはできない」といった意見や、医療の発展のために娘の脳を捧げた両親への共感、医療の高度化に期待する声もみられた。

一方、タイ医学会長のソムサック・ロレーカー医師は「精子を保存することは可能となった。しかし、神経や血管などを有する複雑な人体を冷凍保存から蘇生するには、現在の医療技術では不可能とされており、成功例はない」と否定的な見方をしている。

なお、両親は現在、アインズちゃんが患った病気治療の研究・開発のための寄付金を募集している。SCB銀行、口座番号:028—408823—6、氏名:Dr. Sahatorn Naovaratpong for Matheryn Naovaratpongまで。詳細はフェイスブックMatherynNaovaratpong」にて。

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