スポーツでも台頭するタイ〜東南アジア競技大会のハイライト

卓球世界ランク107位が同4位から大金星、感動の女子マラソン。
アセアンを熱くさせる東南アジア競技大会のハイライトを紹介

2年に一度行われる東南アジア競技大会(SEA Games)の第28回大会が2015年6月5日~16日、シンガポールで開催された。今回は全11ヵ国が参加し、タイ国民の関心事の一つとなっている。

タイからは793選手が参加。前回のミャンマー大会では、金メダル数で参加国中、最多の成績を残した。6月12日時点では、総メダル数は174個で2位(1位は中国からの帰化選手が急増したシンガポール)。これまでのハイライトを紹介していく。

開会式の前日4日に行われた、フェンシングではノンタパット・パンチャン選手(34)がベトナムの選手を破り、金メダル1号となった。ノンタパット選手は18歳からタイ代表で活躍し、同大会を最後に、代表引退がささやかれていたため、多くの国民の感動を呼んだ。

同日、卓球でも快挙。世界ランキング107位のスターシニー・サウェータブット選手(21)が準決勝で同4位のシンガポール代表、フォン・ティエンウェイ選手(28)を下す大金星をあげる。同選手は破竹の勢いのまま優勝を手にし、同種目においてタイに32年ぶりの金メダルをもたらした。一躍、時の人となった同選手は「メダル以上にフォン選手に勝てたことがうれしいです」と喜びを語った。

女子マラソンでも感動が生まれた。20年間、長らくタイの長距離界をけん引してきたナッタヤー・タナロンナワット選手(36)が念願の金メダルを獲得。これまでシーゲームにおいて無冠だった彼女は、こみ上げる涙を流したまま、ゴールテープを切った。タイムは3時間3分25秒。記録以上に記憶に残るワンシーンとして、国民の心に刻まれた。

躍進を遂げたのが射撃。今大会、最も多い13個の金メダルを受賞。過去8年、射撃協会は国から助成金をもらうことができず、人材の育成不足のため、前々回は金1個、前回は金2個と低迷が続いていた。それでも協会の人事改変や選手の選考基準変更など創意工夫や改善を続けた結果、努力が実を結んだ。

アセアンという枠の中で、スポーツでも圧倒的な力をみせているタイ。経済成長とともに強くなっていくという大国への歩みを着実に進めている。

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