記念紙幣の落とし穴

3年ぶりにタイの新紙幣が発行されたばかりだが、 巷には早くもさまざまな珍クレームが浮上しており…。

タイでは王室関連の記念貨幣がよく発行され、ここ10年でその数は9種を数える。

中でも、2016年の国王在位70周年記念紙幣は“国民の父”と慕われた前国王(ラマ9世)の人気が相まり、わずか1日で全2000万枚が完売するなど大注目を集めた。

タイ中央銀行(BOT)は12日、昨年の戴冠式を祝う100B札(2000万枚)、1,000B札(1000万枚)の2種の新紙幣を発行した。

しかし、こと新100B札には多分な物言いがつく。

18年より流通する現行の100B札と1,000B札の表面には共にワチラロンコン国王(ラマ10世)の肖像が描かれ、赤色調の100B札の裏面にはラマ5世と6世が、茶色調の1,000B札の裏面には9世と10世の父子がそれぞれデザインされる。

一方の新100B札は裏面こそ異なるが、表面にはまったく同じ肖像を採用。

また赤や茶の類似色である黄色調を採用したことから「現行の1,000Bと区別がつかない」「偽札と勘違いしてしまう」との声が殺到。

SNS上には実際に見間違えで痛恨の釣り銭ミスを犯した人々の嘆き節が次々と投稿され、トラブル回避のため新紙幣の受け取りを拒否する商店も続出するなど混乱を招いている。

これに対し、BOTでは光に当てた際の透かしの精度など偽札と新紙幣を見分けるための5項目を公表。

しかし「接客時にそんなことをする暇はない」と、さらに批判を煽ってしまった。

ちなみに、通常の約2倍サイズの1,000B札には「財布を買い替えさせる経済作戦」との揶揄もあるが、“記念”という意味では大正解。

額縁に入れ飾るに越したことはなさそうだ。

この記事をSNSでシェア!

一番上へ戻る