産業の高度化を支えるメカニカルシールが主力
「技術で奉仕のピラー」をモットーに、自動車、船舶、製鉄、エレクトロニクスや半導体などあらゆる分野の工業用シール(軸封装置)を手掛ける専門メーカー「日本ピラー工業」。
大正13年の設立以来、その卓越した技術で世界を牽引する同社が満を持してタイ法人を構えたのは2015年のことだ。
東南アジアの海外拠点としては、地域全体を管轄するシンガポール支社、2020年に法人化したインドネシア支社。
そしてここタイには、長年技術畑を歩んできた坂倉博之ダイレクター(MD)率いるバンコク都内の営業事務所の他、頼れる2つの代理店を有する。
石油化学コンビナートによって発展してきた工業団地が密集する東部ラヨーン県では、主に産業用ポンプなどに活用される「メカニカルシール」を代理店の「Leymas」社と展開。
メンテナンスを十分に行っても液漏れは付き物だが、こと可燃性や毒性のある液体の使用に際しては僅かな不具合も許されるものではない。同社と「Leymas」社ではこうした流体を扱う日系企業にも長年、迅速かつすぐ手に届く距離から救いの手を差し伸べてきた。
さらに、2020年3月にはスワンナプーム国際空港至近のサムットプラーカーン県にも代理店「Tech Solutions」社にワークショップを新設。空港からの交通至便なロケーションと、「日本ピラー・オーソライズド・サービスセンター」が供給する充実した設備力を武器に硬質・軟質材の研磨・検査などカスタマーサービスを行う。
主な製造製品
注目の新製品
需要増を見越し、医療業界にも本格参入を目指す
タイでも近年、人工透析をはじめとする高額療養を行う医療機関が増加傾向にある。
しかしどんなに先進的な大手の病院であっても、空調や給排水管の主流は未だに塩ビ管とステンレス配管。
そこで同社では、衛生面や耐久性に優れたフッ素樹脂製品のピラフロンを医療用チューブなどに応用。広範囲で高低温度を連続使用した時や、薬品・溶剤にも侵されず、汚れ・雑菌なども付かないといった特長を有する同製品を迅速に普及を目指す。
「設備や装置の切り替えには確かに大きな初期投資費用がかかります。しかし、PFA素材のチューブやフィッティングには、それ以上に大きな導入メリットがあります。2021年は医療従事者向けの展覧会や学会などにも積極的に参加し、丁寧に時間をかけて製品PRを行っていくつもりです」と同MD。曇りなき眼で販路拡大に意気込みを見せる。
主力の産業機器関連製品と医療用途製品と二枚看板で、ニューノーマル時代の新たなステージへと飛躍する同社からまだまだ目が離せない。