NEPON (THAILAND)

「バンコクで“いちご”を栽培しています」
マネージングダイレクター 丹 恭一

《プロフィール》
たんきょういち
■1962年生まれ。愛媛県出身。愛媛大学農学部卒業。ネポン株式会社入社
■座右の銘:なせば成る
■愛読書:下川先生の本など
■尊敬する人物:坂元竜馬
■趣味:寺社巡り
■バンコクの行きつけの店:ばんから(ラーメン店)
■愛用の腕時計:OCEANUS
■休日の過ごし方:バンコクを散歩
■社用車または愛車:フォーチュナー
■よく見るまたは、活用しているウェブサイト(自社以外):Yahoo!


 

タイで施設園芸(ハウス)需要は?
弊社は、全国農業協同組合連合会(JA全農)の指定メーカーで、園芸施設関係の暖房機やヒートポンプなどの設備メーカーです。
タイには、一部設備の委託生産で2015年に進出しました。まだまだタイでのハウス栽培は少なく、多くが露地栽培ですが、チェンマイをはじめとした北部山間部では増えつつあります。日本では、ハウス=温室で温めるが基本ですが、逆にタイは冷やすことが重要なので、寒暖差が必要な作物の多くは北部で栽培されているんです。

 

最先端の農業を普及させていますね
弊社では、独自に「アグリネット」というシステムを構築しています。ハウスの環境をスマートフォンやパソコンで「いつでも・どこでも」モニタリングできるサービスです。例えば、栽培に適した環境にするために必要な要素(温度・湿度・照度など)を測定することで、1日のハウス内環境変化の流れを数値・グラフ表示で感覚的に把握ができます。数値、データ化することで、経験が乏しい生産者でも、品質を落とさずに生産できるようサポートする他、生産者の業務改善に繋がっています。日本ではすでに開始していますが、タイでは実験的に開始したところです。

 

思い切った取り組みをされていると
14年、ラヨーン県でエアコンを生産している地場企業と共同で“いちご”栽培開始しました。現在はバンコクのラムイントラに場所を移し、栽培しています。ただ、弊社はあくまでも設備メーカー。タイ現地に最適なハウス栽培の施設の設計・施工を行い、さらには農業生産と販売まで一気通貫のシステムを構築しているので、マネージメント会社としての位置付けです。ビジネスとして成り立たなければ、担い手(作り手)もいなくなってしまいます。コストに見合った価格で販売するためにはブランディングが必要なので、タイにあったハウスを作り、IoT技術で温度管理やデータを蓄積して、品質と生産効率を高め、流通に負けない販売ルートを確保する必要があります。

 

農業生産者の価値を高めていますね
タイの流通は、基本的に「場所だけ確保するから勝手に置いてください。売れたら◯%もらいますが、買い取りません」というスタイルです。それでは、生産者側が弱く、儲かる仕組みがなければ、産業としても成長しませんから。 加えて、タイでは遊休地は活用しなければいけないというルールがあることもあり、土地持ちのタイ人富裕層が「土地とお金を出すから農業に投資したい」と言うんです。

 

実は前述のいちご栽培も、パートナーとなったタイ人から「ぜひ使って欲しい」と頼まれ、今年約5000㎡の土地で事業化させる予定です。

 

来年にはバンコクで美味しいいちごが食べられますね
実証実験では、農業関係者らの好評を得ました。タイは赤道直下で太陽が真上を通過し、とにかく気温が高いため、温度管理と光合成をさせるための太陽の取り入れ方が難しかったですね。いちごは積算温度が550度で熟しますから、逆算して温度調節と太陽の取り入れ方を工夫しながら、ゆっくりと育てるんです。そのままにすると小さいまま熟してしまい、酸っぱいいちごができてしまうからです。大きな実で、かつ赤く、甘いいちごを作るには相当苦労しました。

 

なぜコストがかかるバンコクを選んだのですか
例えば、チェンマイで熟したいちごをトラックで保護せずに運ぶとバンコクに届く頃には、ジュース状になってしまいます。それを防ぐには青いうちに収穫するのですが、それでは甘味が足りません。保護(パッケージ)には莫大なコストがかかるので、消費地に近い場所で効率よく生産し、販売する道を選びました。今後は他の農作物にも挑戦するつもりです。
また、現在は農業に強いカセサート大学の卒業生を中心に日本で研修をさせるなど、人材育成にも取り組んでいます。

 

タイ生活はいかがでしょう
やりがいだらけです。タイの農業を高度化させるのが、目下のミッションですね。

 

メイド・バイ・ジャパンのいちごが、あと少しでバンコクで地産地消になる

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