タイ・ヤマザキ

『おいしい』と納得した商品のみを店頭に

社長 齋藤一郎

《プロフィール》 福島県出身。1978年山崎製パン武蔵野工場(武蔵野第一工場)配属、80年ニューヨーク駐在員事務所、81年香港ヤマザキ、94年タイ・ヤマザキ、現在に至る
 

「日本人とタイ人の両スタッフが『おいしい』と納得した新商品のみが店頭に並ぶんです」

―消費者の購買欲も高まっているようです

 タイ・ヤマザキ全体ですと対前年比8%増となっています。今年は、9月時点で新規オープンは1店舗のみで、既存店が入るショッピングモールの改装で休店することもあり、伸び率は鈍いですね。ただ、10月以降はバンコクやチェンマイなどで、7店舗拡充する予定です。



昨年は10店舗拡大し、今後も増やす予定と聞いています

 そうですね。来年も10店舗のオープンを計画していますので、全国100店舗を達成できそうです。ただ、チェーンオペレーションを進める上で、80店舗がひとつの区切りと言われている通り、今後の店舗拡大での課題も見えてきました。このままタイ経済が堅調で、政治も安定していれば、バンコクおよび郊外ともに開店余地はまだまだあります。



タイのベーカリー市場は前途有望というわけですね

 そんなことはありません。すでに進出済みのA︱1ベーカリーや、今後進出計画のあるドンクやメゾンカイザー、また韓国系のベーカリーなど競争も激化してくるでしょう。 進出が相次ぐのは、タイ人のニーズが多様化している証拠ですね。余談ですが、MKレストランのリット社長と親しくさせてもらっていますが、リット氏いわく「競争のない場所で勝負すれば楽だよ」と助言を受けました(笑)。



先行の利で、ブランド力という強みは生かせますね

 おかげ様でタイに進出してから29年が経ちました。歴史がある分、ブランド力も浸透していると思います。また、現地化が進んだことで、非常に優秀なタイ人スタッフも揃っています。当社は、ブランドごとに一ヵ月半で3〜4種の新商品を出します。改廃は非常に大事で、積極的にクリエイトするからこそ飽きられないわけです。ちなみに、新商品は日本人とタイ人の両スタッフが「おいしい」と納得した品のみが店頭に並びます。



社長自身もタイは長いようですが、改めて海外赴任はどうですか?

 1994年に赴任して以来、19年が経過しました。その前にニューヨークで1年、その後、香港に13年いました。実は、日本では入社後2年半の経験しかなく、それからはずっと海外生活です。当社の海外進出一期生でした。最も印象深いのは、現在のタイですね。赴任したのが42歳で、ある人から「男の大厄を環境の変化で洗い流したね」と言われたのを覚えています。また、タイは、はじめて現地法人のトップとして、事業所を任された場所です。決定権者というプレッシャーは、それまでに感じたことがないものでした。極端な話、2番手と3、4番手は一緒ですよ。それだけ、トップと2番手には大きな隔たりがあるんです。



山崎製パンの海外展開を切り開いてきたわけですが、印象的な出来事はありますか?

 タイに関して言えば、通貨危機、空港閉鎖、政変、洪水といろいろなことがありましたね。なかでも、通貨危機の際は、1ドル約25バーツだった通貨価値が52バーツと半分になりました。当時34店舗ありましたが、小麦や油脂など輸入材料が軒並み値上がり、店の統廃合を余儀なくされました。それでも、会社としては持ち堪え赤字とならず済んだことは忘れられませんね。



海外経験が長い齋藤社長ならではの、マネージメントの極意を教えてください

 国が違えば人も文化も変わります。人材育成の分野では、前述したMKのリット社長が自前のトレーニングセンターと多くの専門トレーナーを抱えるほど注力していますが、当社も規模や手法は違えど、業務別に専門部署を設置して人材育成に取り組んでいます。マネージャークラスを育成する際は、何度も話し合い時間をかけることが大切ですね。根気が大事なんです。おかげで、今は新規出店の内装、改装、見積もり、スタッフ採用に至るまで、日本人スタッフが関わらなくとも店を開けられる組織体制を構築できました。今後は、各ポジションのリーダーが次の世代にバトンタッチできるよう育成できれば安心です。



タイだけではなく、東南アジア全体を統括していると伺いました

 偶然、そういったポジションとなりました。昨年からはインドネシア進出を手がけているため、すでに10回以上足を運びました。それ以外の国を合わせると一年の半分は出張していますね。とはいえ、約30年かけてタイ全土に足がかりができました。今後は、いまの点と線の店舗網を面的な展開にして行きたいですね。そのためにも、バンコクのみの生産拠点を東北や南にも置く必要があります。また、直近の課題にローソンの本格進出に合わせて提供を始めたパンやお菓子の安定供給があります。今後も、気は抜けません。

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