近鉄エクスプレス(タイランド)

タイ全土をカバーする完璧な総合物流会社に

社長 鈴木 峰夫

《プロフィール》 1963年生まれ。愛知県出身。1985年旧近鉄航空貨物(現近鉄エクスプレス)入社、名古屋での自動車関連荷主担当後、92〜2003年香港法人へ出向、その後、日本勤務を経て、08年近鉄エクスプレス(タイランド)社長、現在に至る。
 

「タイ全土をカバーする完璧な総合物流会社に成長させたい」

―タイでの事業領域を教えてください
 弊社は、もともとフォワーディングと言われる、複数の企業の荷物をまとめて運ぶ(混載)事業が得意で、なかでも航空貨物フォワーディングに強みを持っています。スワンナプーム国際空港での貨物通関(貿易貨物の輸出入に関わる許可業務)の取扱量はトップです。

ただ、東南アジア諸国と陸でつながり、日本に比べ国土が広いタイで、航空、海上貨物のみでは勝負できません。そこで不足を補うため、2008年にタイの物流会社TKKロジスティクスを買収し、11年6月に統合を果たしました。それにより、TKKの強みであった陸送・倉庫施設が加わり、タイにおける総合物流拠点構築の足がかりとなりました。



文化・風習の異なる、他国間企業同士の統合は難しいと聞きます

 企業統合には、長い年月が必要と言われます。合併後、これまでの3年は組織融合と基盤づくりに注力しました。

そうしたなか、統合後すぐに起きた深刻な洪水被害(2011年)で思わぬ結果が生まれました。被害としては、弊社もナワナコン、アユタヤの倉庫が水に浸かりました。

バンコクの本社ビルも乗用車では入れないほど、水が溢れ、従業員は会社に寝泊まりし、不眠不休で復旧作業に当たりました。同じ(復旧という)目的に向かって必死で作業するうちに、自然とわかりあえ、旧TKK、旧KWE(近鉄エクスプレス)という溝を埋めていったのです。おかげ様で、その後の復興特需には、社員一丸となって対応することができ、業績拡大につながりましたよ。



統合から3年、シナジー効果は得られましたか

 社員数も合併前の2社を足した以上の規模(約1200人)となり、日系ライバル社と肩を並べるまでに成長しました。

もちろん、数の効果だけでなく、売上構成を事業ポートフォリオで見た場合、航空輸送55%、海上輸送と倉庫が20%ずつ、残りがクロスボーダートラック輸送(タイと近隣国間)となっています。統合で得た新事業の売上が高まることで、強みとしてきた航空輸送の比率が下がり、バランスがとれてきました。



今年は政情不安の影響で、経済活動が低迷し、目標達成の困難な企業もあるようです

 実は、弊社にとって厳しかったのは昨年(2013年)でした。12年〜13年上期は、ファーストカー減税効果で国内自動車関連業が活気を呈していました。

反面、海外物流(輸出)は低迷していたんです。一方で、今年は国内需要も鈍化していますが、弊社に関していえば、海外物流は好調です。今年7月の取扱物量は、復興特需に並ぶ過去最高を記録しました。

国内についても、軍政となったことで景気低迷の底は打ったと言われ、今後はゆるやかに伸びることが予想されています。国内の景気が回復すれば、今年は史上最高益を達成できるかもしれません。



海外赴任は2ヵ国目と伺いました

 タイには、2008年に赴任しました。以前は、1992年から11年間、香港です。当時の中国は、改革開放路線を採用した最高指導者“鄧小平(とうしょうへい)”の指示により深圳(しんせん)経済特区が指定され、急速に経済発展が進んだ時代です。その勢いは現在のタイをしのぎ、ほとんど休む暇なく、がむしゃらに取り組んでいた思い出が強いですね。



凄まじい経済成長期の香港を経て、タイでは空港閉鎖(08年)、リーマン・ショック後の落ち込み(09年)、赤シャツ騒動(10年)、洪水(11年)そして、企業統合とまさに激動ですね

 すべてを自分の目で見て、経験できたことが財産です。仕事もプライベートも現場主義を掲げているので、これまで現場で培った経験則のおかげで、緊急時の即断・即決といった対応力がついたと自負しています。社員に煙たがれることもありますが、結果的にコミュニケーションが図られ、意思決定を伝え、素早く実行に移しやすい強固な組織になっていると思います。



統合を経て、さらなる事業拡大に期待がかかりますが

 現在、プラチンブリーに倉庫を含め総合物流施設を建設中で、来年初頭の稼働に向けて、弊社の一大プロジェクトとして取り組んでいます。ここをタイ東部での事業展開の拠点とする予定です。取り扱い品目では、航空機関連のサプライヤー向けサービスが増えてきています。宅配便ではありませんが、サプライヤー向け小口配送もはじめました。また、今年6月にはラオスのサワナケートに事務所を開設しました。統合を経て、基盤が整い、新たな事業展開=チャレンジできる企業体質が整いました。将来的には、タイ全土をカバーできる完璧な総合物流会社に成長させたいですね。


 

編集後記
近鉄エクスプレスの統合は成功のようだ。2014年、軒並み競合他社が苦戦するなか、史上最高益を視野に絶好調ぶりをみせる。「現場主義」を掲げる鈴木氏は、自らの足で歩き、国内外のあらゆる場所を視察するのが趣味だという。洪水時は、自らも泥だらけとなり、陣頭指揮を執った。現場で勝ち得た信頼が、統合後の社員の旧社意識を消したのだろう。統合3年で、確固たる基盤を築き、「先を歩くライバルの背中が見えた」と自信を覗かせる同氏の次の一手に注目したい。(北川 宏)

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