タイセコム ピタキイ

タイのホームセキュリティ市場を開拓

社長 渋川 洋一

《プロフィール》 1964年生まれ。89年セコム入社。91年米国留学。帰国後は、メガバンクの営業として、東京・名古屋・大阪で勤務。地方都市の支社長勤務を経て、2012年3月タイセコムピタキイ社長、現在に至る。
 

「日本の勝ちパターンを、その国や地域にカスタマイズし、勝負する」

―セコム全体の業績は好調のようですが、タイセコムの状況はいかがですか?

 昨年は、主力のオンラインセキュリティサービスの契約件数が1万件を突破し、対前年比で新規契約件数は25%増となりました。これは、経済発展が目覚ましいタイ王国において、ようやくセコムのビジネスモデルが浸透する土壌が形成されつつあるということです。業績全体では、2012年度は大型案件の実施が重なり、売上・営業利益ともに対前年度比で急拡大したこともあり、当初から13年は目立った伸びは期待していませんでしたが、結果的に、売上でほぼ横ばい、営業利益は約15%増(対前年比)を確保することができました。



セコムの特色として、オンラインシステムをコアとし、機器販売、警備派遣といった徹底した自前主義によるワンストップサービスが有名ですが

 日本セコムのビジネスモデルをタイでも実践しています。売上比率は、オンラインサービス40%、常駐警備20%、残りがプロダクトのセールスと設置工事、メンテナンスなどです。オンラインと常駐は継続収入事業なので、安定した財務体質を維持するためにも、今後この2つを強化していきます。特に、他社との差別化を図れる弊社独自のオンラインサービスの比率を高めたいですね。



警備事業は、法人がメインターゲットだと思いますが、日本で注目されつつあるホームセキュリティ(家庭用)の需要はいかがですか?

 現状の顧客シェアは、契約件数比の7割がタイローカル企業で残りが日系企業となっています。売上比率だとローカル6割、日系4割です。つまり、タイでもセコム流=日本流のセキュリティサービスが浸透しつつあるということです。ただ、現在の顧客は95%が法人で、ホームセキュリティ市場が拡大する日本のトレンドには追いついていません。  とはいえ、ご存知のとおりタイでは中間所得層が増え、街ぐるみの開発も着手されるようになりました。今後、弊社も宅地開発や都市の再開発を手掛けるデベロッパーなどと協力することで、ホームセキュリティ市場を開拓していこうと考えています。



確固たる基盤を築き、攻めに転じるということですね

 今年で、タイ進出も27年目となりました。創業52年を迎えた日本セコムは、オンラインセキュリティの草分けとして、すでに契約件数が180万件を突破しています。  対して、タイはいまだ1万件です。当然、経済力や文化の違いもあり一概に比較はできませんが、タイ市場への確実な手応えを感じています。これまでタイセコムは、下地を作るために長い滑走路を走り続け、ようやく離陸準備が整ったばかりなのです。そこで、タイセコムは2015年までに、オンラインセキュリティ事業を現在の倍となる2万件を目標として掲げました。



2014年は、勝負の年ですね

 タイには、現在も多くのセキュリティ会社が存在します。そのほとんどは、機器の販売や警備員の常駐事業に特化している企業です。弊社のように設置したセンサーや監視カメラを使い、オンラインで常時監視し、異常発生時には自社の警備員を派遣するというビジネスモデルはありません。今や警備拠点も全国に46ヵ所あり、バンコクだけで20ヵ所以上を設置していますので、多様なニーズに応えられると自負しています。こうした独自のシステム・サービス体制を武器に、認知度を上げていきたいですね。



目標に向けた組織体制はいかがですか?

 現在タイセコムには1750人の社員がいて、そのうち1450人が制服組、その他300人が営業や管理系の社員です。私がタイに赴任して2年が経ちますが、この2年間、社員一人ひとりにセコムの基本理念、「正しさの追求、既成概念の打破、現状打破の精神、豁達(フータ)の精神」を伝え続けています。27年目の会社ですが“セコムらしく成長していくためには、セコムらしい考え方”の浸透が不可欠だと考えています。



マネジメントに対する姿勢など、はじめての海外駐在とは思えませんが……

 入社3年目の時に、社費でアメリカへ留学するチャンスがあり、ビジネススクールに通った経験があります。そこで、妻とも出会い、私にとって間違いなく人生の転機となりました。帰国後は、警備会社としてメインクライアントである、メガバンクの営業担当となり、莫大な資産を預かる金融機関の警備を一手に任されました。こうした転機や経験によって、自然と国際感覚と組織行動学を身に付けることができたことは、私にとって大きな財産です。

 

編集後記 “世界一安全な国・日本”ですら、約200万件がセコムの警備システムを導入する。同社は独自に構築した「オンラインセキュリティサービス」を武器に、国内で圧倒的トップを走り、早くから海外に視野を向けた業界の雄だ。「長い滑走路だった」と例えるタイの基盤を受け継いだ渋川社長は、国際感覚とマネジメント力を兼ね備えた人物。同社長が言う“セコムらしさ”が浸透すれば、タイの街角でも、お馴染みのフレーズ「セコムしてますか?」が聞こえてくるだろう。(北川 宏)

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