三井住友海上火災保険

徹底したサービス品質を保障

タイ支店長 高樋 毅

《プロフィール》 1965年生まれ。兵庫県出身。1988年神戸大学法学部卒業、同年大正海上火災保険入社(現三井住友海上火災保険)、2000年米コロンビア大学法科大学院卒業、海上保険、企業営業、人事、米国駐在(ニュージャージー州)、13年業務監査部海外チーム 部長、14年タイ支店長兼MSIG Insurance(Lao)CEO
 

「徹底したサービス品質を保障することが強みであり付加価値」

―タイの市況はいかがでしょうか
 タイの損害保険市場は、いいペースで拡大しています。自動車を中心とする産業集積地であるタイは、今後も伸びることが予想され、自動車保有台数の増加、企業の設備投資も進み、堅調です。タイでは主に自動車、建設工事、海上、医療などの商品(損害保険)を取り扱っています。



国の経済成長や発展する過程では、保険制度も変わります

 仰るとおりです。社会が発展すれば、それだけ保険内容も複雑化します。

例えば、日本で自動車事故を起こしてしまった場合、次年度の保険料は上がります。当然、保険会社を代えても引き継がれますが、タイはそうではありません。保険制度自体が成長過程にある状態では、採算面で苦戦することもありますが、一緒に制度を構築していくことでクリアできると思っています。



日系対非日系の顧客層は?

 現在は7対3で日系顧客が中心です。保険にどこまで加入するかは、人や企業の意識に左右されます。

火災や事故が発生した際に、事業が継続できない期間の利益損失をカバーする保険も存在します。これらの保険は、目先の利益だけではなく、将来も含め損益計算書やバランスシートを守るという認識が高まれば、自ずと普及すると考えています。

経済成長する段階で、顧客比率もローカルが増え、変わっていくでしょう。



2013年後期〜14年前期は、政情不安により市場も安定しなかったと思いますが

 14年度に関しては、目標に対しての達成は厳しいかもしれません。タイ経済界の受け止め方は、クーデター(5月22日)で底を打ったと言われています。

あとは、消費・投資マインドがどのタイミングで回復するかでしょう。今年10月以降に持ち直すという声もあります。洪水(2011年)からの復興で、タイ経済はアクセルを踏み過ぎた感があります。ただ、その後の反動減を経験したこともあり、今度の経済回復の折は、もう少し安定的に伸びるのではないでしょうか。少なからず現状から回復することは間違いないですね。



政治不安、自然災害による経済的ダメージは、企業や人に「リスクヘッジ」の重要性を気づかせ、需要拡大は必至ですね

 タイ保険業界全体では、確実に拡大しています。タイでは色々なことが起こりますが、企業の撤退や大幅な生産規模縮小という話はありません。



損保業界にとっては、落ち込んだ後のチャンスだと

 チャンスは平等ですから、タイローカル、日系含めた同業他社との競争は厳しいですね。特にローカル大手には規模で劣っている分、オペレーション効率では負けます。同じ戦い方はできませんので、強みをどう生かすかだと思っています。



御社の強みは

 サービス品質の高さが最大の強みです。お客様は、業態、規模によって求めるニーズが違います。そうした細かなニーズに沿った保険を設計し、事故や災害時は最後まできっちりと対応する。また、事故が起きないようにする防災サービスに力を入れています。

当たり前ですが、徹底したサービス品質の追及が強みであり付加価値だと思います。



タイ赴任はいつからですか

 今年の3月1日からです。直前は日本でしたが、その前はアメリカに6年ほど赴任していました。日本人にとって、バンコクは世界中で最も生活に困らない都市ではないでしょうか。

趣味は、マラソンです。アメリカ時代は大会に出場していたので、タイでも出場したいと思っています。業務面では、英語での意思疎通に限界があることを感じますね。今後はきちんとタイ語を習い、スタッフと円滑なコミュニケーションを図ることが課題です。



年度当初からのバドンタッチですが、手応えはありますか

 弊社のタイ支店のオペレーションは先人のおかげで、かなり確立されています。利益を出し、税金を納めタイに貢献することが企業としてのミッションだと思っています。単体で430人、タイのグループ全体で約1000人という基盤があります。まずは、来年への布石として意欲的に、かつ、確実に実績を伸ばしていきます。



高樋氏にとって、三井住友海上火災保険とは

 顧客第一主義の会社です。真に浸透、定着するまでには、相当粘り強くやったと思います。前述の品質への追求も、保険業を生業とする身として誇りです。単に商品(保険)を売るのではなく、いかに事故が起きないようお客様サポートする点を最も大事にしており、他社には負けません。


 

編集後記
「3メガ」に集約された損保業界。その一角にして国内最大損保グループ「MS&ADインシュアランスグループ」の中核企業「三井住友海上保険」の海外展開は、第二次大戦前のタイ王国からはじまる。隆盛を極めるタイ進出日系企業のいまは、同社がリスクマネジメント面から支えてきたからこそ。高樋氏が「サービス品質の高さが最大の強み」と掲げるのも、歴史に裏打ちされた信頼の高さが自信につながっているのだろう。盤石な基盤から繰り出される同氏の手腕に注目したい。(北川 宏)

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