損保ジャパン日本興亜インシュアランス(タイランド)

タイ存在感を示す

社長 斎藤 滋夫

《プロフィール》 1965年生まれ。東京都出身。1989年慶應義塾大学卒業、同年安田火災入社、企業営業、国際業務部、自動車開発部、人事部を経て、14年4月損保ジャパン日本興亜インシュアランス(タイランド)社長。
 

「成長戦略の最終年度には、タイの地で一定の存在感を示します」

―タイの市況はいかがでしょうか
 タイの損害保険市場は、成長過程にあると一般的には言われています。当社も成長予測に基づいて戦略を描いてはいますが、今年度に関しては、もともと6〜7%と予想されていた市場成長率が、7月末で1.17%と厳しい状況です。ただ、当社においてはマーケット増率と比較すると、高い水準で伸びています。



成長率が鈍化したとはいえ、マーケットは拡大傾向にあります

 現在の市場は、前年度で6500〜7000億円ほどです。日本の約8.5兆円規模の市場と比較すれば小さいですね。

ただ、ご存知の通り、タイは保険制度自体が発展・普及の途上であり、今後、確実に市場は拡大するでしょう。期待値ではありますが、今後5年間に毎年6%くらい伸びると試算しています。2018年には8000億円を超えるくらいの規模になるのではないでしょうか。



市場拡大に向けてビジネスモデルを変えつつあると聞きました

 タイ法人を設立して17年が経ちました。当初は、日系企業に対する進出サポートをメインとしてきました。最近の試みとしては、日系企業の進出サポートをコアに、ローカル企業、個人向けの損害保険商品、例えば、自動車購入者(タイ人)に対する自動車保険サービスの提供など、徐々に拡大しています。

現在の売上規模は約70億円で、売上比率は日系7割、残りがローカル向けです。売上高のうち、個人向け保険は10%くらいです。現在、進めている成長戦略(2018年度)の最終年度には、現在の事業ポートフォリオから大きく舵を切り、タイのローカル企業・個人へのウェイトをさらに大きくするつもりです。タイにおいて存在感を示せるようになりたいです。



魅力的な市場ということですね

 グローバルでみると、現在のタイの損害保険市場規模はシェア0.38%、世界で33番目の大きさにすぎません。

ただ、成長市場であることは確かで、東南アジアのなかではナンバーワンのポテンシャルでしょう。一方で、タイの損害保険会社は、現在60社以上あります。日本の損保業界の歴史や他地域の動向と照らし合わせれば、今後、統廃合や合従連衡といった動きがあるのではと考えています。

特に、タイ保険委員会(OIC)が資本金規制を来年度から強化し、その後、段階的に最低資本基準を引き上げるという話があり、影響が気になるところです。市場動向だけでなく、規制についても注視が必要と考えています。



今年の4月に赴任されたと聞きました

 赴任前は、人事部にいました。海外は初めてです。弊社がグローバル展開を加速させるなかで、海外経験のない人材であっても、積極的にチャレンジさせる必要があると社内で検討していた矢先の指名(人事)でした。



経営者という立場になりましたが

 社員力が会社の競争力、すなわち源泉であることは、どの国でも変わらないと思います。人事時代に培った、社員が活性化するような仕組み、異動、評価制度をつくっていきたいと思います。

赴任して、最初に手がけたのは離職率の問題です。社員のモチベーションを上げるために、評価制度を変え、オフィスをチームごとに分けて掃除をする「クリーンアップキャンペーン」などイベントを取り入れたことで、一定の成果を得ています。


とはいえ、コミュニケーションの面では正直、苦労しています。組織も、数年前までは70人規模だったのが、現在は160人(日本人13人含む)と大幅に増えました。今後、ビジネスの拡大や販売チャネルを増やすなかで、最低でも400人規模は必要だと思っています。言葉の問題もありますが、社員一人ひとりとの対話を大切にしたいと考えています。



プライベートはどうですか

 非常に住みやすいですね。人事の前の営業時代に、出張で7回ほど来ていたので、イメージは湧きやすかったです。

単身赴任なので、家族の有り難みが本当にわかりました。週末は、洗濯やアイロンなどの家事もするようになり、食事もできるだけ自炊するようにしています。あとは、苦手ですがゴルフも始めました。日本にいた頃は、野球やラグビーなど、スポーツ観戦を趣味にしていましたが、タイではテレビでサッカーを観ているだけなので、少し寂しいですね。



今年は、赴任もそうですが、合併により会社としても大きな転換となったのではないでしょうか

 実は、日本では今年9月1日に合併しましたが、タイは日本に先行して、2013年1月に合併しました。時期が早かったことで、今では見事なまでに融和していると思います。2つの会社が合併しましたが、お客様からの評価を意識し、とにかく顧客至上主義を貫いている点は共通していることだと思います。


 

編集後記
「3メガ」に集約された損保業界。今年9月1日、損保ジャパンと日本興亜損害保険が合併して損保ジャパン日本興亜となった。タイでの合併は2013年1月と早く、斎藤社長が「混乱はなく、一体化している」と言う通り、業績も順調に拡大。シナジー効果が発揮されつつある。ジョブホッピングが当たり前のタイで、赴任早々に離職率をひと桁台とした手腕は、人事経験の賜物。人材育成、事業の拡大など、基盤構築が急務。同氏の肩には、タイ・ローカル市場へ挑戦し、飛躍させるという使命が課せられている。(北川 宏)

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