富士ゼロックス(タイランド)

達成感を糧にする人材を育てたい

社長 手塚 幸治

《プロフィール》 1958年生まれ。愛知県安城市出身。81年早稲田大学卒業、同年富士ゼロックス入社(国内営業14年)、95年シンガポール赴任以降、AP/China向け商品計画、マーケティングを経て、2012年富士ゼロックス(タイランド)社長。現在に至る。
 

「限界を決めず、達成感を糧にする人材を育てたい」

―タイでの事業領域を教えてください
 タイでは、弊社製品の販売のみで製造はしていません。ですから、販売及びその後のメンテナンスがメイン事業ですね。

関連会社の「富士ゼロックス・マニュファクチャリング」では、使い終わったコピー機のトナーや部品といった消耗品を回収し、再資源化する取り組みを行っています。ほかには、官公庁等に複写機(コピー機)のレンタル事業です。



取り扱い製品は?

 弊社は、1962年に創業しました。富士フイルムホールディングスとアメリカ・ゼロックスとの合弁企業で、オフィスプロダクトの製造・販売・メンテナンスを生業として世界展開しています。

取り扱い製品は、大きく3つの領域に分かれ、ひとつが、マルチファンクションデバイス(複合機)といわれている、プリンタ、ファックス、複写(コピー)、スキャニングの機能を備えた複合機の販売およびメンテナンス。また、最近はハード(複合機)のみならず、オフィス内のPCと複合機をネットワークで結び、業務ソリューション構築、そして、それらを一括してアウトソーシングとして受託するサービスも主力事業のひとつです。最後が、印刷市場向けに業務用プリンタの販売・メンテナンスを行うプロダクションサービスです。



タイでも売上至上主義から事業効率化を真剣に考える企業が増えてきたと聞きます

 仰るとおりです。IT企業でなくとも、人件費の高騰や事業の高度化により、特にタイの大手ローカル企業では、組織内の業務効率化に力を注ぐ経営にシフトする動きがみられます。

ソフトウェアプラットフォームの導入コストは、ハードよりも高くつきますが、その後のイニシャルコストだけでなく、ランニングコストの軽減などを含めたトータルコストを抑えられます。コスト意識の高い経営陣が増えたことで、弊社にとってのビジネスチャンスも広がりつつあります。それは同時に、タイのビジネスのクオリティが高まっているという証拠なのです。



政情不安などありますが、業績への影響はいかがですか?

 タイ市場については、さかのぼることリーマン・ショック(2008年)後は厳しく、その後は2010〜12年と二桁成長を続けてきました。

しかし、昨年は、ご存知の通り政情混乱の影響を多少なりとも受けました。ただ、成長スピードは失速したものの、為替差益で利益率はむしろ高まり、通年でみれば確実に成長できています。今年度も上半期は前年並みをキープできそうです。

ニュースで聞く景況感も上向きですし、弊社に関しては、年度半ばから新商品を投入していくので、下半期に期待しています。長期的にも、タイの経済成長は続くと思われます。



進出47年で、タイの経済発展を支えてきたという、一日の長は強みですね

 進出当時は、現在のような日系企業の進出ラッシュ前でしたので、自ずとマーケットでは、ローカル企業がターゲットでした。売上比率も8対2で圧倒的にローカルが占めています。今後は、日系企業が慣れないタイで、スムーズに事業の効率化を進められるよう助力していきたいと思っています。



海外赴任は長いのですか?

 タイが2ヵ国目で、2012年から駐在しています。その前は、シンガポールに2度にわたり9年赴任していました。タイの経済成長は、シンガポールに似ています。国土が広く工業団地の規模感からするとそれ以上の勢いを感じます。



それだけ、やり甲斐があるということですね

 当然、国が違えば文化・風習が異なりますので、ビジネスシーンでは戸惑うことは多々あります。これは、日本人スタッフにも言っていますが、文化が違うのであれば、それにあわせて対処しなければなりません。弊社は進出歴も長く、市場において、ある程度の認知度があります。だからこそ、今後はマネージャークラスの人材を育て、真の現地化に向けた取り組みを進めています。



社長に就任して、富士ゼロックスタイランドは変わりましたか?

 100点満点中だと60点でしょうか。営業組織としてもプランを実行できる最低限の組織力(約1000人)はあります。

とはいえ、改善する余地もあり、必ずしも生産性が高いとはいえません。社員には「限界を決めるな」と伝えています。浸透させるために、社内向けのスローガンポスターを作成し、昨年は「有言実行」、今年は「チェンジ」を掲げました。

私の好きな言葉に、孔子の「これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」とあります。スポーツ選手が「楽しめました」というように、苦しい過程を経た後の達成感を糧にする人材が揃う組織にしたいですね。


 

編集後記
今や複写機(コピー機)はオフィスワークに欠かせないもの。1960年代初頭、同社が日本に持ち込んでから半世紀が過ぎた。パイオニア精神は根強く「体質改革」「研究・技術開発」を続けた結果、業界トップの評価を保持する。タイ進出は47年と古く、市場シェアも高い。それでも手塚社長が「必ずしも生産性は高くない」といい、今年のスローガンに「チェンジ」を掲げる姿勢からも同社の社風(気概)が伺えた。政治と経済が目まぐるしく変動するタイ。100点を取る次の一手とは?(北川 宏)

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